レジのオッチャン


朝6時前に甘いモノが欲しくなった。
珈琲のパートナーが。
24時間営業のスーパーへ。

さすがにこの時間は空いていたが、
オッチャンが多いことに驚いた。
肉体仕事らしきオッチャンたち。
半額タイムサービスの揚げ物
コーナーは既に品薄だった。

欲しいスイートをゲットし、
「足型」の指定場所に並ぶ。

たった一人のレジ係。
ここでも70前後のオッチャンだ。
極めて手際が悪い。

客もイライラしている。
「他のレジもあけろよ」
露骨につぶやく人もいる。
それは、店の事情だ。

レジのオッチャンの声が聴こえた。
聴き覚えのある特徴的なしわがれ声だ。
うちの患者「小川さん」だった。

帽子とマスクで気づかなかった。

脳卒中後遺症で、まだ字が
きちんと認識できない。
言語障害も残っているから、
マスク越しでは一層通じにくい。


ここで働いていたのか!
リハビリも兼ねているのか。

この時間はオッチャンにとっては
ラッシュアワーかもしれない。
イライラする客に懸命に対応している。

頑張れ!

自分の順番が来た。
「こんな時間に食うの?」
小川さんは自分にとっくに
気づいていたようだ。

「おはようございます。
早くからスゴイね」
「夜からだよ」


夜勤だったのだ。

「もうすぐ上がり?」
「そうだよ」


買い物内容はお手本とは真逆で、
少々気まずかった。

「また診療所で~」

お互い手を振って別れた。
少しだけイラっとした自分を悔いた。

色んな事情で、色んな人が
色んな場所で仕事をしている。


そういうお話。