流行りの濃度?

妻を怒らせると夫は脳卒中で死ぬ。

女性上司が言っていたセリフだ。

怒りは味覚を鈍麻させる。
だから料理の塩分がどんどん濃くなる。

夫は血圧が上昇し、脳卒中を起こす。

台所担当が妻とは「昭和の偏見」では?

というツッコミはなしね…

実際に怒りは味覚を鈍麻させるのか?

怒りながら食べてみればいい。
味はわからないはずだ。
少なくとも、味を楽しむ余裕はなくなる。

だから塩加減が濃くなる。

交感神経と関係していると思われる。
怒りは交感神経を活性化する。
交換神経は「闘争か逃走」状態を作る。
つまり食べてる場合ではないのだ。
(ちなみに消化活動は副交感神経の仕事)

だから味覚が鈍麻するのではないか?

機序はあくまで、「仮説」である。

お店のラーメンがとても濃いと感じる。
以前に比して。

軒並み、行列を作るラーメン屋の話だ。

店員がイラついているのか?
客もイラついているのか?
濃い味が世の中に求められている。

それ自体がホンマか?

お前が「味覚音痴」なだけやろ!
そういうツッコミにはごめんなさい。

薬がキク~ッ!

早い話が
黙って薬を飲みなさい
ということだ。

白川さんは73歳女子。
コレステロールと中性脂肪が高い。

肥満が改善すれば治るだろう。

残念ながら50年ほど肥満している。
しかも進行性だ。

「肥満という快適領域」の住人だ。

検診で指摘され、当院へ来た。
薬を飲むとことに同意した。

しかし、きちんと飲まない…

「ホントは飲まない方がいいのよねえ」
この期に及んでいさぎ良くない。

頑なに薬を飲みたがらない人がいる。

高脂血症、高血圧、糖尿病。
生活習慣病と呼ばれる疾患だ。

症状として、痛みも痒みもない。

患者さんは大抵「すぐに効く」が欲しい。
本音は「明日痩せたい」なのだ。

変化が見えなければ動機は弱い。

生活習慣病を抱えている人は
「崖までの暗い道を歩いている」
とよくたとえられる。

落ちたら人生は180度変わる。

腎不全、脳卒中、心筋梗塞…
大病を予防するために飲むのだ。

医療の発達に感謝すべきでは?

何も起こらないまま生を全うする人もいる。

医師は「確率」の話しかできない。

食生活の改善、運動を増やす。
理想はみんな知っている。

それがままならないから医者に来ている。

「薬飲めばいいじゃん!」

人生楽しまなきゃ損!
薬を飲んでほどほどに美味いモノを食う。

世の中美味いモノも多い。
炎天下で身体を動かすことこそ毒だ。
機が熟したら、腹4分にすればいい。

好きに身体を動かせばいい。

薬が存在することに感謝すべきだ。
とにかく定期的に受診してほしい。
エエ感じに「洗脳」されれば、白川さんは

薬を卒業できるかもしれない。

最後に白川さんにメッセージを渡した。
「薬は嫌いになっても
原田医師のことは
嫌いにならないでください」
アレ?どこかで事聞いたことあるな…

がん!?ガーン!

「5年生存率は44%です、だって。
あっさり言うのねえ、今は…」

原口さんは70歳になったばかり。
「揚げ物」大好き女子だ。
酒とタバコも止められない。
当院には、高血圧と高脂血症。
一応グッドコントロールだ。

GW中にお腹の不調で入院した。
紹介先では「胃腸炎」との診断。
食べ過ぎが原因と説明された…
この際、しっかり調べてもらって。
そう指示した。
なんやかんや検査をした。
結果、胆管がんが見つかった。
先日入院先から報告書がきた。
「あっちゃ~、マジか…」
原口さんは不定愁訴が多い心配性だ。

この病名を受け入れ、耐えられるか?

先日原口さんが久々に来院した。

杞憂だった。
開き直るタイプだった。
文字通り「腹を括って」いた。
スッキリした表情だった。

原口さんは冒頭の言葉を発した。

別件で見つかったラッキーなケース。

外科医からはそう説明されたそうだ。
別件かどうか厳密にはわからない。

人体はつながっているからだ。

手術日程もすんなり決まった。
経験豊富な名医が執刀することになった。
胆道系がんは特に「術者」が重要だ。
執刀数が多いほど信頼できる。
原口さんは非常に幸運だ。

5生率は、あくまで「現時点」での話だ。
5年前の5生率はもっと低い。
10年前なら絶望的な数字だ。
かつてがんは不治の病だったからだ。
がんが治る時代になりつつある。
医療は秒単位で進化している。
がん治療の未来は明るい。
原口さんの未来は明るい。
現段階で44%ということは、
実質五分五分以上の確率だ。

そんな話をした。

「タバコは?」
「さすがに止めたわよ」
「酒は?」
「飲む気しないわよ」
「OK!完治したら祝杯しましょ」

一緒に酒を止めてあげることにした。
5年後解禁、あっという間だ。