ちょい不良(ワル)ばあちゃん

白川さんは91歳の独居女性。
うちには高血圧でかかっている。

株式投資で稼ぎ、孫に小遣いをやる。

米中貿易摩擦に頭を悩ませている。

先日、自転車ですれ違った。
自宅から30分は離れた場所だ。

最低1時間は走っていることになる!

路上でつかまると話が長い。
亡夫は遊び人だったらしい。
「先生、浮気しちゃあダメよ!」

会話の最後はこれで締める。

今回の検診も百点満点だった。
「素晴らしいじゃない!」
「サプリがいいのよ」
「サプリ…?」
「そう。サプリ飲んでるのよ」
「何のサプリ?」
「知らないわよ。効くヤツよ!」
ちょっとムカッと来たので言った。
「診療所とか主治医とか。ないの?」
「え?ああ診療所?」
「サプリもいいんやろうけども
せめてサプリ9、診療所1とか!」
「そうそう。みんなに言ってやるよ!
私の先生イイのよ~って!」
不敵な笑みを浮かべて言っのだ。

こちらの手を両手で握りながら…

主治医を手玉に取る91歳。
カラオケが趣味でビールで晩酌。
独居高齢者の鏡だ。

高血圧のブルース

山本さんは降圧剤を飲みたがらない。

年齢も46歳と若いので気持ちはわかる。

私見だが若い人ほど飲んだ方がいい。
努力できないからだ。
先は長いし…
本来、生活改善でかなりいける。
しかし、バリバリ仕事をしている世代。
一気に習慣や付き合いを変えられるか?
死ぬほどの病ならいざ知らず。
じゃあとりあえず薬を飲む。
毎日飲む。
うっとうしい。
クスリ止めたい。
で、日常を変化させればいい。
そういう考え方だ。
一回飲めば、一生クスリを飲まない
といけない。
それはただのガセネタだ。

当院には卒業生がたくさんいる。

「飲んだ方がいいよ」
そう助言する。
もう少しだけ頑張りたい、と。
実はもう工夫を始めている、と。
素晴らしい。
「どんな工夫?」
「ザクラス飲んでます」
ザクラス?
武田から出ているすごく強い降圧剤だ!
なんや、もう既に飲んでるんや!
どこでもらってるんだろう?
よそのクリニックに通ってたんかい!

「いえ、嫁が買ってきてくれるんです」

「ザクロ酢」らしい。
色んな酢が出ているらしい。

名前が似すぎていた。

酢で血圧下がれば苦労せえへんけど…
「毎日つけといてね」
血圧手帳を渡した。
様子をみることにする。