あと一日しかなかったら?

原崎さん86歳女性。
最近定期的に受診するようになった。
骨粗鬆症の薬を飲んでいる。
ボランティア活動に熱心だ。

「最近少し疲れてきたの」

「そんだけできたら充分でしょ」

すると原崎さんはじっとこちらを

見て、丁寧に話し出した。

「先生にお願いがあるんです」
「何でもどうぞ」
「私が弱ってきて、その時が来たら

静かに看取ってほしいんです」

全部理解できた。

荷物整理をしていたら、50代のときに
書いた遺言書が出てきたそうだ。
今の考えと全く同じだったそうだ。
30年前に仕上げているとは

当時としては先進的だ。

今回、改めてエンディングノートを
したためた。

終の主治医として選んでくれたようだ。

「ええオチにしたげますよ」

「ああ、よかった」

涙目で喜んでくれた。
お陰でボランティアに精を出せる。

やりたいことに集中できる。

終着点を決定することで自由を得る。
死を身近に感じておくことで、
自分の真の物語が描けるのかも…

便秘も7倍?

「女は7の倍数に気をつけろって本当ね」
「?(主治医)」
「テレビで言ってた」
「うちテレビないんよ」
「男は8の倍数、女は7の倍数って」
「知らん」
「70歳で弱ったのよ。7の倍数だもの」

それを「暗示」という。

田島さん(70歳)はテレビ好きだ。
持病は骨粗鬆症と血圧が少し高いくらい。

不調の原因?
それは複雑に絡み合っている。
天候もあるし、商売の問題もある。
人間関係も大いに影響する。
7年か8年周期で健康状態を見直す。
それは決して悪いことではない。
しかし不調の原因の追認は無意味だ。
「不調なのは年齢が7の倍数だから」
では、あきらめにつながるだけ。

田島さんは使用法を間違っている。

「最近便秘がひどくて」
「なんで?」
「運動してないからかな?」
「なんで?」
「テレビばっかり観てるからかな?」
「運動もせずにテレビばっかり観てる人は

ウンコせんでエエです!」

なぜか島田さんは喜んでいる。
叱られているのに…
その顔が可愛かったので、ちょこっとだけ
下剤を出してあげることにした。