声のボリューム


「隣のじいさんがうるさくて眠れない」
三好さん(76歳女性)は不満げだ。
隣人は耳が悪くて、テレビの音量が
いつも大き過ぎるそうだ。

独居の人は寂しさを紛らすためか、
テレビをつけたまま寝る人が少なくない。

「顔も頭も悪いけど、耳だけは良いの」
と自虐的な三好さん。
元々、聴覚過敏があるそうだ。

「オッチャンに注意しに行こうか?」
と提案したが、断られた。
効果が期待できそうにない、とのこと。
いい「耳栓」を紹介してあげた。

「わたしは声が大きいですか?」
片岡さんは79歳男性。
難聴がどんどん進んでいる。
友人に「口にチャック」のジェスチャー
をされ、気にしている。

「ちょっと大きいかな」
とこちらも大きな声で応える。

難聴の人は声が大きくなりがちだ。
自分の声が聴こえないと不安になる。
スマホも聴き取りにくいそうだ。

良いヘッドホンを紹介してあげたら、
「すごく聴き取りやすくなった!」
と喜んでくれた。
「若い子に紛れ込んでるんですよ」
ヘッドホン姿にご満悦だ。

三好さんの隣人は片岡さんなのだろう。
世の中には、耳の悪過ぎる人も
良すぎる人もいるのだ。

自分の発するボリュームを少しだけ
意識してあげてほしい。

日常的にマスク着用している人は特に。
音量が大きすぎる傾向がある
関西人医師も心がけている。

マスクした方がいいんだろうけど・・・


「みんなマスクでしょ?聞こえないのよね」
井田さん(72歳女性)は難聴だ。

井田さんの難聴は「感音性難聴」
と言って、治療が難しいタイプだ。
新型コロナウイルスの弊害は
こんな形でも現れている。

その上、花粉症のマスクだ。

自分は診療中にマスクをつけない。

理由は3つある。
耳が悪い患者さんが多いこと。
マスクは発声にも聴き取りにも邪魔だ。

2つ目は、顔を覚えてほしいから。
「先生の顔が浮かんだのよ」
生活習慣改善に少しは役立つようだ。
「あの先生だったらどうする?」
自分にも、いまだに頭に浮かぶ
研修医時代の指導医がいる。

現段階では、マスクの感染予防効果は薄い
というデータを支持している。
それが3つ目の理由だ。
もちろん感染源になるのはまずいので
自分に症状があるときはマスクする。

将来、邪魔にならずに、有効なマスクが
出てくれば態度を変えるかもしれない。
今は、しないメリットが上回っている。
賛否両論あるのは承知の上だ。

マスクをする習慣のある人は、せめて
大きな声ではっきり喋ってあげてほしい。

しっかり息を吐けば、感染予防にもなる
かもしれない。
エエ声になり、歌が上手くなるかも。

そうなれば、「怪我の功名」だ。
いや、「棚からぼたもち」か・・・

聞こえない私でいいんです

オモシロクナール に対する画像結果

生まれつき聴力の弱い人たちに、
次の質問をした。

「聴者になれる魔法の薬」があったら
飲みますか?


ほとんどの人が「飲まない」と
答えたそうだ


自分に当てはめれば何だろう?
生まれてきたときは不自由だった。
それはみな共通だ。

ただし、それは記憶にない。
不自由を自然に克服していった。

成長し、自覚的に能力を磨く。
まだまだ磨きたいし、それに
面白さを感じている。

客観的に見て「不自由」とされる
人たちもそうなのかもしれない。
補うために研鑽してきた。
バランスしているはずだ。
今さらバランスを崩したくない。

圧倒的に長い時間、「ない」まま
過ごしてきた。
「ない」自分が「自分」なのだ。

あとで失った人の方が厄介だ。
「ある」自分が「自分」だから。

体力や、記憶力、感覚。
加齢とともに失うとされる。

ホンマか?
サボっていたのでは?

不要な能力はいらない。
本当に不自由なら何らかの
代替的能力を必死で鍛えるはず。
その「根性」を失うことが
加齢なのかもしれない。


ふと思った。
「オレには羽根がないな」
確かに大空を飛んでみたい。

「羽根が生える魔法の薬」を
飲みますか?


絶対に飲まない。
飛行機があるし、もうすぐ
ドローンで飛べそうだ。
羽根をしまう服持ってないし…