病人の定義

「持病のある高齢者だけでしょ、
心配しないといけないのは?」

岩坂さんは、話題の新型ウイルスに
触れ、そう言った。

米屋を経営している岩坂さんは
75歳の男性だ。

お正月は、他では絶対に食べられない
餅を用意して孫たちを迎える。
孫もそれを楽しみにしている。

糖尿病でインスリン治療の岩坂さん。
客観的には、しっかり
「持病持ちの高齢者」
なのだが…
ご本人の気持ちは現役バリバリだ。

下町の高齢者は自営業が多い。
生涯現役という人も少なくない。
だから気持ちが若い。

「ホントに病気の人多いわよねえ。
どこも悪くないのが申し訳ないわ」

という高橋さんは生活習慣病の宝庫だ。
では何しに診療所に来ているのか?
雑談だけが目的のつもりなのか?

自分を「病気」と思わない。
自分を「高齢者」と思わない。
「自分は死ぬまで健康だった」
と最期を迎える。


良いことなのだろう…

他言無用

「絶対にゆうたらアカンで」
コソコソ話…秘密…
秘密を打ち明けると絆が深まる。 

確かに親友になれるかどうかの
試金石だった気がする。

医療現場は守秘義務が原則だ。
「秘め事」を打ち明ける。
医師と患者との関係構築に
重要な要素なのかもしれない。

であれば、TVやネットで情報が
散乱するのは関係構築にとっては
好ましくないかもしれない。

とはいえ、セカンドオピニオンも
重要だ。
相談する窓口が多いことが
奏功することもある。

良好な関係を構築するには?

やっぱり雑談しかない。
雑談の中で直接的に病と無関係な
「秘め事」を共有する。

かなり効果はある。
勝手に治ってくれるほどの…

簡単にできるかどうかは知らない。
普段から「不断の雑談」を
繰り返すしかない。


診療における秘伝中の秘術である。
そっと公開してみた。