話そう尊厳死

「長生きしたくない」

検診にきた津山さんは84歳。
人間とは矛盾に満ちた存在だ。
「でも明日死んだら困るでしょ?」
意地悪な質問をしてあげる。
津山さんは苦笑いを浮かべる。
「検診受けてるくらいやもんね」
意地悪な主治医は膝をぶたれる。

人の生死は不確定要素だ。
「いつかの死」だけが確定している。
10年先の終着点は遠すぎる。

くっきり見える到着点は怖すぎる。

人生の最終形はこれでいいのか?
後悔ないようジタバタした方がいい。
世の中受け身だとロクでもない。
暗いニュースばかりだ。
まだ見ぬ景色を探しにかかる。

すると思わぬ感動があるかもしれない。

「みなに迷惑をかけたくない」
長生きしたくない根拠の常套句。

津山さんは「お約束」を発した。

日本人は実に「みんな」が好きだ。
「誰に聞いたの?」
「みんなそう言っていた」
「みんな」は日本一有名な存在だ。

欧米では非常に希薄な感情だ。
尊厳死の根拠に「迷惑」がない。
個人主義だからこその尊厳死なのだ。
「みんな」のために死にかねない日本人。
危なっかしい。
尊厳死の議論がなかなか進んでいかない。

やり残したことないようにしましょう。
健康面は医者に任せてOK!
一応納得して津山さんは帰宅した。

高齢パパ友

「お父さん徒競走で闘う日が来そうですね」

入園式の話で盛り上がった。
お互い娘が今年4歳になる。
武田さんは68歳。
やるなあ。
負けてられない。

今朝の東京は豪雨。
武田さんは合羽着て自転車で送っていった。
Change is constant!
こんな68歳が現れる時代になった!

いいことだ。

武田さんには前妻との間に子どもが2人いる。
2人とも30代後半だ。
再婚した現在の妻との間に5歳児と3歳児。
アパレルの会社を経営していて見た目も若い。
酒も減らした。運動もしている。
しかし、心筋梗塞と膀胱がんの既往がある。

幸い両方とも完治したが、注意は必要だ。

「長生きせなあきませんね、お互い」
「長生きさせて下さいね」

「ウチにちゃんと通ってれば大丈夫」

子どものためにもパパ友の命を守らねば…