
佐藤さん67歳は大工だ。
当院には血圧でかかっている。
行きつけの銭湯でよく会う。
最近ご無沙汰だった。
サウナを休止していたからだ。
「サウナ始まったよ」
「じゃあ今晩行こうかな」
こんな会話から始まる外来だ。
銭湯で文字通り「無防備」を晒して
いるから、診察し始めるとき、
お互い何となく照れる。
佐藤さんは銭湯で顔見知りも多く、
待合いでプチ飲み会をしている。
「何年通っているんですか?」
「もう30年以上」
「それはスゴイ!」
毎日デカイ風呂に入り続ける。
ある意味「贅沢」なことだ。
佐藤さんは気づいたことがある。
日本人の体型が変わった。
「メタボ」が増えたそうだ。
以前の日本人にはいなかった
タイプの肥満の仕方だそうだ。
一緒にサウナに入ると酸欠になるから、
そういう人が入るとサウナから出る。
肥満しているから銭湯に来るのかも
しれないが・・・
風呂で高齢者が倒れることもしばしば。
何度も救出しているそうだ。
本職以外の「フィールドワーク」だ。
職人としても信頼されているから、
コロナ禍でもビクともしなかった。
30年間、男の裸を見続けてきた。
本職の医者もタジタジだ。