次の現場へ


「ブログネタが多そうな方に進んだら」
妻が言った。
わが妻ながらエエセンスだ!

8月一杯で診療所を辞めることになった。
理由はそれなりにあるのだが、
結局は「自分の意志」だ。
残りたければどんな手を使ってでも
残ればいいだけ。

12年間はそれなりの時間だった。
何を残したのか?
「作品」が残る世界が羨ましい。

チャーリー・パーカーが
素晴らしいのではない。
チャーリー・パーカーの「音楽」が
素晴らしいのだ。

ピカソが素晴らしいのではない。
ピカソの「絵」が素晴らしいのだ。

医療ならどうだろうか?
患者が治癒すること?
生き延びること?
それが目標なら難しい。
人はいつか死ぬ。

医療における「作品」とは?
異論はあるだろうが「関係」では
ないだろうか?

ときに私生活にまで近づき、共感し合い、
共通の目標に向かって伴走する。
打ちひしがれることも多々ある。

今、色んな形で患者さんたちが
可視化してくれている。
感謝と恐縮の時間は正直しんどい。
関係が理解できない人には一生
感じることができないだろう。

話が抽象的になりすぎた。

というわけで次の舞台に移ることにした。
やることは同じだから大丈夫。
手数と自由度が増えただけだ。

差別やら風評被害やら・・・


「コロナ診てるらしいね」

中華料理屋で、奥からママが
なかなか出てこない。
ようやく出てきて開口言われた。
家族全員当院の患者だが、
ママだけ最近来院しない。

(なかなかやるやんけ!)
笑えた。

まあ説明するのも邪魔くさいが、
言うことは言っておこう。
「コロナを選んでるわけではないよ。
熱出た人を診てるんよ。
ママが熱出たら診んでもええの?」


困った顔をしながら
「尾ひれ羽ひれつくから」
と気まずそうに言い訳していた。

これが風評被害か。
ようやく目の当たりにし始めた。

「あの診療所コロナ出たから
行かない方がいいって言われたよ」

外来で言われた。
常連患者だ。

「来んでええです。
お願いして来てもらう
仕事してないから」


サイレントクレーマーは
何も言わずに立ち去る。
うちの患者さんたちは
サイレントしていられない。
バイブレーションが隠せない。

28歳の力士が死んだ。
なかなか診てもらえなかったそうだ。
断った医師にとってもトラウマだ。

お上の指示に従ったのか?
風評被害を恐れたのか?
本当に新コロが恐かったのか?

それは知らない。
若者の死をムダにしてはいけない。

保険屋から聞いた実話だ。
一旦「コロナ陽性」と出たら、
保険には入れないらしい!
だから検査前に医者に加入を
勧めているそうだ!


こんなとこにもあった。
差別の種が!

そりゃあ検査も増えないはずだ。

組織の長としてスタッフを
守らないといけない。
コネを最大限に利用して職員全員に
PCR検査をした。

もちろん全員「陰性」だった。
うちの診療所はクリーンだ。

これからも定期的に検査する。

昨日はTBSの密着取材だった。
医療崩壊防止、医療従事者への
差別防止の提言をした。

使える手を全部使って
何とかしてやろうと思う。

風呂上がりのように


「先生たまにはお風呂に行こうよ」

もちろん「銭湯」のことだ。
誤解なきよう・・・
最近よく誘われる。

星さん(78歳)はしばらく雲隠れ
していた。
持病があるので、「新コロ騒ぎ」が
不安で仕方がなかった。

心を決めて診療所を受診した。

不安がる必要がないということを
丁寧に丁寧に説明した。
すると最近はしょっちゅう診療所に
顔を出しては、主治医を風呂に誘う。

「不要不急で診療所に来てはいけない」
と窘(たしな)める。

医療従事者に対する差別が
関心を集めている。

横行しているのか?一部なのか?
それは知らない。

「差別上等!」だし、患者さんも
さほど減っていない。

スタッフも患者さんもみな明るい。
私生活においても、スタッフから
特に報告は受けない。

差別者は「サイレントモード」
なのかもしれない。

要するに「無症候性感染者」が
問題なのだ
医療従事者はきっとそうに違いない
と思う人が差別するわけだ。

ではそれを証明するしかない。
もし証明できれば、患者さんは
安心して受診できるし、
こちらも自信を持って診療できる。

至極当たり前のことだが、これまで
解決しようと本気で努力しなかった。

スタッフが去り、患者さんが減り、
閉院したクリニックも結構ある。
どんな思いで閉院したのだろう?

病院所がゼロになったら、それは
まごうことなき「医療崩壊」だ。
それは人類にとって最悪だ。

閉めるくらいなら相談してほしかった。

かかっていないことをスッキリと
証明する手はゴマンとあるのでは?