
加藤さんは90歳男性。
在宅診療をしている。
ケアマネから報告があった。
「最近また飲み始めてるんです」
3日前に転倒したらしい。
数ヶ月前にも転倒している。
それは、飲酒とは関係ない。
必死のリハビリで劇的に回復した。
リハビリ中は断酒していた。
最近お酒を復活したのだ。
午前中往診に行ったときも、
ビールを飲んでいた。
主治医はコップに注いであげる。
「おつきあいできなくてごめん」
血圧も下がり、上機嫌。
少し調子に乗りすぎたか…
ケアマネの前で、バツが悪そうに
している加藤さん。
ケアマネと師長に叱られている。
ウインクしながら、
「気をつけないと!」
と茶番を演じる主治医。
「まあ、70歳過ぎれば朝から
飲んでてもいいんだけどね」
と持論を展開し、ケアマネと
師長に睨みつけられる。
「怒られない程度に飲むように」
と曖昧な指示を出すと
「味方がいてよかった」
と喜ぶ加藤さん。
不思議と、立ち上がり方など
動作すべてのキレが上がっている。
シラフでも転ぶときは転ぶ。
飲酒してた分、軽症で済んだかも。
誰にもわからない。
加藤さんは事業でも成功している。
町会の功労者であり、長老だ。
残り人生を「多幸感」がカラフルに
してくれるなら飲酒も「あり」では?
ケアマネの目をしっかり見て、
「いつもありがとうございます」
感謝を言葉を告げた。
四角四面とも受け取られかねない
真面目なスタッフがいるからこそ
チョイ不良な医療ができる。
感謝あるのみ!