「連休はどないでした?」
「毎日連休だから変わりません」
佐山さん(83歳女性)は答えた。白内障の手術を勧められている。ご本人は手術をためらっている。「手術をして見えなくなった人が多い」
そうだ…白内障手術の技術は格段に上がった。術後の患者さんの感想は軒並み良好だ。佐山さんには失敗例が耳に入る。治った数千の人の情報は入らない。人は警告音に反応するの典型だ。脳は失敗を記憶するようにできている。順風満帆に流れた無数の出来事は忘れる。
夫の死と娘の病だけの人生。佐山さんの言葉の端々に現れる。
「残りの人生、オモロイ出来事をきちんと喜びましょうね」「そうします」笑顔で退出した。
毎日が連休と言った。
それがアカンのかもしれない…