
自分の思いを相手に伝える。
想像している以上に難しい。
相手の理解度が違うからだ。
それはIQとかそういう話ではない。
さまざまな先入観が入るからだ。
下島さんは76歳女性。
夫と蕎麦屋をしている。
朝から晩まで馬車馬のように働き、
家事もしっかりこなしている。
先日脊椎の圧迫骨折をした。
整形外科で診てもらっているが、
治療が長引いている印象だ。
「医者にしっかり伝えた?」
訊いてみた。
どこまで治してほしいか?
どう治りたいか?
仕事で相当動き回ること。
日常と仕事中の活動性も印象も
全く違う人は意外に多い。
下島さんもその一人だ。
それを知らない医者は下島さんを
「76歳女性の一症例」
として扱う可能性が高い。
「?」
な顔をしている下島さん。
こちらの質問の本当の意図が
下島さんに伝わっていないようだ。
「カツ丼を注文しているのに、
素うどん出てきたらお客さんは
怒るでしょ?」
ようやく理解できたようだ。
「自分は何を求めているか?」
を相手に伝えるのは簡単ではない。
よく知っておくべきだ。
でないと素うどんが出てくる。