ライブ「肉声と肉筆」

勇田さんは大腸がんの治療中に
悪性リンパ腫を発症した。

悲嘆にくれた時期もあったが、
両疾患ともほぼ克服した。
祝福した。

「ホント元気になりましたよね」
「皆からメールで大丈夫?元気?
って。返事が大変なんですよ」


メールは「大丈夫?」のハードルを
下げてくれる。
「病状見舞い」を電話でするのは
少々ハードだ。
こういうのも「雑談力」が低下する
一因になっているのかもしれない。

「返事を自筆で書いたらどう?」
勇田さんに助言した。

あえて自筆で。
大切な人にだけでも。
時節柄、年賀状という手もある。
筆力で「元気」を見せる。

「肉声」「肉筆」という言葉がある。
メールのデジタル文字には
骨も肉もない。

うお~、元気になったぞお!

熱く書かないと伝わらない。
逆に心配されるかもしれないが…
https://imcjapan.org/medicalcoaching/末っ子の一大事?fbclid=IwAR1A4RwqJYpECts2BklBFa02YTbIubPTA4tAJV1uowa0v7fev7RYeh7ZV4Q

酒は薬?クスリ?

加藤さんは90歳男性。
在宅診療をしている。
ケアマネから報告があった。
「最近また飲み始めてるんです」

3日前に転倒したらしい。
数ヶ月前にも転倒している。
それは、飲酒とは関係ない。
必死のリハビリで劇的に回復した。

リハビリ中は断酒していた。
最近お酒を復活したのだ。
午前中往診に行ったときも、
ビールを飲んでいた。


主治医はコップに注いであげる。
「おつきあいできなくてごめん」
血圧も下がり、上機嫌。
少し調子に乗りすぎたか…

ケアマネの前で、バツが悪そうに
している加藤さん。
ケアマネと師長に叱られている。

ウインクしながら、
「気をつけないと!」
と茶番を演じる主治医。

「まあ、70歳過ぎれば朝から
飲んでてもいいんだけどね」

と持論を展開し、ケアマネと
師長に睨みつけられる。

「怒られない程度に飲むように」
と曖昧な指示を出すと
「味方がいてよかった」
と喜ぶ加藤さん。

不思議と、立ち上がり方など
動作すべてのキレが上がっている。
シラフでも転ぶときは転ぶ。
飲酒してた分、軽症で済んだかも。
誰にもわからない。

加藤さんは事業でも成功している。
町会の功労者であり、長老だ。
残り人生を「多幸感」がカラフルに
してくれるなら飲酒も「あり」では?

ケアマネの目をしっかり見て、
「いつもありがとうございます」
感謝を言葉を告げた。

四角四面とも受け取られかねない
真面目なスタッフがいるからこそ
チョイ不良な医療ができる。
感謝あるのみ!

病は母親で治る

君塚さんは70歳男性。
酒好きで治療にも非協力的。
ようやく心が通い出した。
糖尿の数値もみるみる改善してきた。

「素晴らしい!これで生き延びた!」

ホメていると意外な告白をしてきた。
君塚さん曰く一度死んでいるそうだ…

高校時代に大きな事故に遭った。
脳が飛び出ていたそうだ。
救急隊も完全にあきらめていた。
一命は取り留めたが、3年間入院。

その告白に驚いた。
今の姿は日焼けした普通のおっちゃん。
よく見ると少し傷痕がわかる程度だ。

「先生は信じないと思うけど
母親が治してくれたんです」


母は息子を助けたい一心で、
色んなことをしたそうだ。
山に登り、呪術的なお祈りもした。
そして肉断ち、油断ちもした。
生涯に渡ったそうだ。

母親は晩年認知症を患っていた。
それでも味噌汁を食べるときに、
油揚げだけ除けていたそうだ。

その話にはグッときた。

「先生にこんな話は変ですよね」

そんなことはない。
3年の入院は壮絶な事故を物語る。
しかも50年以上前の医療のレベルだ。
母の念は有形無形に働いたはずだ。

「そう言えば、君塚さんの血糖値が
悪い時、寝苦しいんですよ。
お母さんに首絞められてるのかも。
息子治せ~ゆうて」

君塚さんは笑っている。

医学は間違いなく科学だ。
だけど、医療は治ってナンボ。
オカルトでも何でも治ればいい。