大盛り無料

宅配弁当の鈴木さん。
当院でも注文している。
安くて美味しいと評判だ。
家族経営をしている。

最近店主が大腸がんで亡くなった。
心配したが残った家族、妻(70)と
息子(42)で経営継続している。

「最近お弁当のご飯多くない?」
「そうよねえ!」
「息子がご飯を盛ってるのかな?」
「若いから自分の分量なのよ!」

スタッフの会話が聴こえてきた。

別室から参入した。
「お母さんとちゃいますか?」
突然参入してきた医者に驚いた。

持論を展開した。

ご飯を盛っているのは母親だ。
以前は弁当作りにノータッチだった。
主人が死んで母も参加した。
大抵男はケチだ。
お母さんの方がご飯を多く盛る。

「そうかもしれない!」
スタッフは納得して笑っていた。

鈴木さんは自分の患者さんだ。
ケロッと乳がんを克服した人だ。
茶道の先生もしている。
ということは「おもてなし」を
熟知している。

気性を知っているからわかる。

がんばれ!

病は母親で治る

君塚さんは70歳男性。
酒好きで治療にも非協力的。
ようやく心が通い出した。
糖尿の数値もみるみる改善してきた。

「素晴らしい!これで生き延びた!」

ホメていると意外な告白をしてきた。
君塚さん曰く一度死んでいるそうだ…

高校時代に大きな事故に遭った。
脳が飛び出ていたそうだ。
救急隊も完全にあきらめていた。
一命は取り留めたが、3年間入院。

その告白に驚いた。
今の姿は日焼けした普通のおっちゃん。
よく見ると少し傷痕がわかる程度だ。

「先生は信じないと思うけど
母親が治してくれたんです」


母は息子を助けたい一心で、
色んなことをしたそうだ。
山に登り、呪術的なお祈りもした。
そして肉断ち、油断ちもした。
生涯に渡ったそうだ。

母親は晩年認知症を患っていた。
それでも味噌汁を食べるときに、
油揚げだけ除けていたそうだ。

その話にはグッときた。

「先生にこんな話は変ですよね」

そんなことはない。
3年の入院は壮絶な事故を物語る。
しかも50年以上前の医療のレベルだ。
母の念は有形無形に働いたはずだ。

「そう言えば、君塚さんの血糖値が
悪い時、寝苦しいんですよ。
お母さんに首絞められてるのかも。
息子治せ~ゆうて」

君塚さんは笑っている。

医学は間違いなく科学だ。
だけど、医療は治ってナンボ。
オカルトでも何でも治ればいい。