年寄りの定義


「やっぱ理容業界しんどい?」
「いや、ウチはそうでもない」

後藤さん(55歳)は銀座で理容室を
経営している。
スタッフを何人も雇い、繁盛している。

商売が上手くいっている人の話は
いつも面白い。

お客さんは全員ショートカットだ。
しょっちゅう床屋に行かないといけない
髪型にするのがコツだそうだ。

感染対策もいち早く導入した。
お客さんの安心・安全のためだ。

いちいち勉強になる。

後藤さんは言う。
「年寄りはダメだね。すぐに
『できない』理由を探す」

ベテランスタッフに対する苦情だ。

手袋をつけよう、と言うと、
やれ感覚がどうのこうの、と言う。
飲みに行かないように、と言うと、
そのために仕事をしているのに、と言う。
その精神が「年寄り」なのだろう。

「旗を立てたら、そこに皆集まるんだよ!」
後藤さんの名言だ。
この辺はお祭りで培った根性だろう。

子供の頃から大のお祭り好きが高じて、
胸から背中まで立派な彫り物が入っている。
本職でもないのに、何年もかけて
痛い思いをして・・・

世間一般常識からすれば「アホ」だ。
でも、違う角度から見れば、入墨は
世界共通脈々と伝わる文化だ。


伝統を重んじる根性の人なのだろう。
そら成功するはずだ。

病み上がりの誕生日

早い話が
医療従事者は俳優でなければいけない
ということだ。

本日1歳の誕生日を迎える息子。
39度台の熱が続いていた。
身体中から濁音、笛のような音。
発し続けている。
「肺炎」もしくは極めて近い状態だ。
いつもの笑顔はなし。間欠的に号泣。

大食漢が全然食べない。

上の子は4歳になる。
これまで一度も飲んでいない。
信頼できる医師の報告も背中を押す。

苦悶の我が子。

冷静でいられる親はいない。
妻の表情も当然曇る。
「大丈夫。みんな通る道やから」
落ち着くよう、うながす。
息子にとってラッキーなのは…
まだ「不安・心配」という概念がない!

正味「病の苦しさ」だけだ。

 

病によってもたらされる不安や心配。
(いつまで続くのだろうか?)
(大きな病気が隠れているのでは?)

つまり幻想が苦しみを助長する。

 

「不安」という感情を子供に教えるのは?
ほどんどの場合「親」だ!
気持ちはわかる。
だが、事故らないために冷静さが必要だ。
自分の母親や先輩に訊く。
信頼できる医療機関に直接電話する。
リアルな症状をプロに伝えた方がいい。

素人がネットを見ると、症状が増える!

 

とにかく息子は根性で治した。

逞しく育つだろう。

妻は医師の夫を見直しているようだ。
でもね…
小児科医ではないのだ。
平静を装うのは大変だ。
演技派の俳優でよかった。
治ってくれるまで安堵できない。
それは患者さんでも息子でも同じだ。
今晩はケーキを食べさせてやろう。
頑張ったご褒美に…