
勇田さんは69歳男性。
大腸がんと悪性リンパ腫を克服した。
短期間の間に二つの大病を患った。
非常にレアケースだ。
大腸がんを卒業した途端、リンパ腫発症。
化学療法が著効し、リンパ腫も寛解した。
心折れることなく本当によく頑張った。
「本当に良かったですねえ」
健闘をたたえた。
健闘をたたえた。
当院は、風邪や下痢の治療を担当した。
それから「通訳」も若干手伝った。
大病院の医師の説明には通訳が必要だ。
安堵の表情を浮かべる勇田さん。
通訳も心の底から喜んだ。
勇田さんは5人兄弟の末っ子だ。
長男とは7歳しか離れていない。
術中術後兄弟が代わる代わる来てくれた。
末っ子の一大事!
兄ちゃん、姉ちゃんは気が気でなかった。
いくつになっても末っ子は末っ子だ。
兄弟と病室で話す、笑う。
心の底から安らいだそうだ。
まさに「真の癒し」だったことだろう。
昔話に花が咲き、若い頃にトリップする。
愚痴を聴かされることもあった。
兄の愚痴を1時間も聴き続けたそうだ…
すべての会話が治癒の材料になったはずだ。
死ぬほどの大病を2つも経験した。
兄弟全員が「死」を意識しただろう。
病室で兄弟で過ごした時間はさぞかし熱く、
重厚だったにちがいない。
たまに「病」も悪くない。
たまに「病」も悪くない。