言葉にできない

栗山さんの妻は失語症が強い。
10年前の脳卒中の後遺症だ。
リハビリもあまり進まなかったらしい。

「周りが大変ですよ」
と嘆く栗山さん(78歳)。
栗山さんご本人も大病をしている。
15年前に心筋梗塞をやった。
心臓の血管に金属が入っている。
肺がんを切って13年経った。

「生き延びてますねえ」
「ええ、どうにかこうにかね」

いや、むしろ若返っている。
ふと思った。
(妻のおかげかも?)

妻は認知症ではない。
だから妻の脳内にイメージはある。
しかし、言葉にならない。
本人はもどかしくてイライラする。
夫は妻を慮(おもんぱか)る。
必死で読み取ろうとする。
さながらテレパシーの世界だ。
新たな能力が開発されたのでは?

オカルトになる前に止めておく。

身内が病を発症する。
日常の景色が一変する
変化した現状を受け入れるのは困難だ。
絶対に悪いことばかりではない。
使っていない脳がフル稼働する。
人生時間の厚みが増すかもしれない。
メリットも必ず存在する。
先に大病を患った夫。
妻の衝撃も相当なものだったはずだ。

妻が失語症。
夫は本気の「傾聴」をするしかない。
妻も思っているかもしれない。
失語症でよかった。
いらんこと吐かないですむ…

高齢パパ友

「お父さん徒競走で闘う日が来そうですね」

入園式の話で盛り上がった。
お互い娘が今年4歳になる。
武田さんは68歳。
やるなあ。
負けてられない。

今朝の東京は豪雨。
武田さんは合羽着て自転車で送っていった。
Change is constant!
こんな68歳が現れる時代になった!

いいことだ。

武田さんには前妻との間に子どもが2人いる。
2人とも30代後半だ。
再婚した現在の妻との間に5歳児と3歳児。
アパレルの会社を経営していて見た目も若い。
酒も減らした。運動もしている。
しかし、心筋梗塞と膀胱がんの既往がある。

幸い両方とも完治したが、注意は必要だ。

「長生きせなあきませんね、お互い」
「長生きさせて下さいね」

「ウチにちゃんと通ってれば大丈夫」

子どものためにもパパ友の命を守らねば…