ONE FOR ALL ALL FOR ONE

早い話が
家族の健康は総合点が一定しているのでは
ということだ。

家族が重い病を患う。
家族間での関係性に変化が起こる。
ドミノ倒し的にメンバーが病気になる
ということは滅多にない。

一緒に学ぶことで養生するようになる。
「自分が倒れてはいけない」
気持ちが免疫力を高めているのか?
実際、目の色が変わる家族は多い。
そして、以前より明らかに元気になる。

そういうケースは多い。

子どもが先に逝ってしまう。
その悲しみは言葉にできない。
しかし、数年後不思議なほど元気になる。
子どもの分まで生きてやろう!

人生を大切に生きている人は少なくない。

家族の健康は総合点が一定する。
勝手にそんな気がしている。

勿論当てはまらないケースもあるだろう。

人間は「関係」の中で生きている。
相手の状態に応じて自然と立ち回る。

親密な家族ほどバランスしている。

荒尾さん(78歳女性)は肥満している。
現在体重が78kgだ。
結婚当初、体重は45kgだったそうだ。
「詐欺ですね」
主治医は本音をつい吐いてしまう。
結婚当初、夫の体重が78kgだった。
夫はここ数年患っている。
現在体重は45kgしかないそうだ。
夫婦の体重が入れ替わったのだ!
総合点一定してるやんか…

つなぐのは血?点滴?

「先生、点滴してくれない?」

立石さん(81歳女性)は頭痛で来院した。
めまいで行う点滴で味をしめた。
頭痛ごときで点滴してられない。
「だめ」

3年前に夫を亡くした立石さん。
しばらく空気の抜けた風船状態だった。
ずっと会話も上の空。

最近ようやく冗談も通じるようになった。

立石さんは夫の姉と二人で暮らしている。
「イジワルな義姉」らしい。

外来ではずっと愚痴だらけだった。

立石さんは20代で寿司屋に嫁いだ。
家には義父母、義姉、義弟がいた。
義弟は後妻の連れ子だった。
戦中・戦後ではよくある話だ。

今の20代女子なら嫁ぐのを拒むだろう。

立石さんは寿司屋を手伝い、介護もした。
夫亡きあと、義姉と二人になった。
血の繋がらない姉との生活が始まる。
悲しみ、不安、不満、混在しただろう。

うつ状態になるのも理解できる。

立石さんが人生で最も長く過ごす相手。

それが義姉なのだから!

一緒に暮らし、今年60年目に突入。

夫婦なら「ダイヤモンド婚」だ!

立石さんは不定愁訴が相変わらず多い。
しかし、最近少し変化が出てきた。
「義姉が診療所行って来いだって」
いつもと風向きも表情も違う。
頭痛でもめまいでも何となく明るい。
なるほど!
義姉との関係性が変化したのだ!
そういえば最近悪口も少ない。

人間には「情」が存在する。
真の「家族」になったのかもしれない。
血のつながりがないだけの話だ。
訊いてみた。
「義姉さん死んだら泣くでしょ?」
「そりゃそうよ」
「OK!点滴したげる」
適応外だが、点滴してあげることにした。