スピンオフ


部屋のあちこちに頭をぶつける。
ぶつけることで学習していく。
次第に障害物を避けながら
部屋をきれいにしていく。

お掃除ロボット「ルンバ」だ。

以前はとても活躍してくれていた
のだが、今は休眠状態。
引っ越しのときに充電器をなくし、
本体だけが存在感を出している。

ルンバは「スピンオフ」と聞いた。
スピンオフとは、日本語で言えば
「瓢箪から駒」みたいなものか?
軍事目的のコンピューター研究の
途上に生まれ落ちたらしい。


文豪夏目漱石はロンドン留学時代に
精神を病んだ。
ロンドンで漱石は自分史上最大、
勉強に打ち込んだらしい。

傷心帰国し、なんとなく執筆した
『吾輩は猫である』
が大当たり!

それから一躍人気作家となる。

小説家という職業は漱石にとって
スピンオフだったのか?


先人の仕事に学ぶ。
仕事がすべて高い志の「たまもの」
とは限らない。


パンデミックから生まれたスピンオフ。
後世に語り継がれるスピンオフ。

そう考えると色々見えてくる。
オレだけ?

永井荷風になりたくて

『荷風と私の銀座百年』

「主人は荷風のように生きたかったのよ」
妻がポツリ。

「荷風のように?」

増岡さんは口を開いた。
「生涯独身でさ」
「無頼の人ですね」
「オレなんて後悔ばっかりだよ」

と妻の前で憎まれ口をたたく。

「エエとこの子でしょ?」

「そう。官僚の息子だよ」

当時の著名人は家柄が良い。
漱石も三島もスゴイ一族だ。
今の日本も変わらないか…
血統や出のアドバンテージは大きい。

そんな話で盛り上がった。

すると妻が
「この人は自転車屋の息子よ」

「大出世じゃないですか!」

官僚なんてしょせん中間管理職。
モノを作り、直す方がエライ!
いや、いい表現ではなかったな。
全国の官僚、自転車屋のみなさん。
いつもありがとう。