死にたくても死ねない

在宅患者の真木さん(94歳)は
6年前に娘を亡くし独居生活。

真木さんの口ぐせは「愚痴」中心だ。
これは娘の生前から変わらない。
往診する度に
「早く死にたい」

を聞かされる。

「早くあの子の所に行きたいよ」
「あっちでも面倒見さされるの
勘弁してくれってゆうてるよ」
「えっ?何て言ったの?あら?

補聴器してなかったわ」

終始こんな具合だ。

「大丈夫大したことゆうてないから」
「どうせ悪口でしょ」
「ホメてんですよ」

隣で師長が笑いをこらえている。

娘の仏壇に供え物は欠かさない。
夜中に娘が食べてくれるそうだ。

(犯人はおそらく生きている哺乳類だ)

ヘルパーが代わる度にモノを取られる。

(のちに必ず別の場所で見つかる)

呆けてるわけではない。
色んなファンタジーが混ざり合う。

真木さんはまだまだ逞しく生き延びる。

医療には「お約束」が必要なのだ。
吉本新喜劇で育っててよかった。

やっぱり口ぐせ

口ぐせ 新幹線

新幹線グリーン車内で、京都から乗ってきたカップルの会話です。

男性)「一番後ろ、一番後ろだよ」
女性)「ガーン、またかよ!」

残念ながらこのカップルはこれからも同じ会話を繰り返すでしょう。
なぜなら、やるべきことをやらずに起こった状況をあたかもアクシデントのように感じているからです。
一番後ろに座りたくないカップルのやるべき行動は極めてシンプルです。上りと下りの進行方向と席順の関係を把握する、もしくは、窓口で伝える。それだけ。
おそらくこの二人は色んな場面で 「またかよ!」 と発していることでしょう。

何が言いたいのか?
「病」に代表される「好ましくない状況」になったときに、やるべきことをせずに、つい妙な「口ぐせ」を発してしまっていませんか?
たとえば、「またかよ!」はとても重い言葉です。潜在意識に住みつきます(追々その機序は説明します)。
結果、「過ちを繰り返してしまう自分」を作りあげます。
これは「自己効力感(自己に対する信頼感や有能感のこと)」を著しく下げることにつながります。
前述のグリーン車内に乗ってきたカップルの場合、 「次はうまくやろう!」 これだけで良いのです。
無意識がうまくやる方法を探してくれます。
人間の脳はマジでそんなモンなのです。

 

原田文植

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