プロも素人


中島さんは魚河岸で16歳から
50年間働いていた。
裏も表も知り尽くしているので
話を聴くのがいつも楽しみだ。
血の気の多い話が多いが。

最近食欲がないという中島さん。

「何を食っても旨くないんですよ」
「寿司は?目が効くからアカンか」
「見たら食えないんですよ」


要するに、魚を見ただけで
「質」がわかりすぎる。
見ただけで、魚は食えなくなる。
鯵しか食えないそうだ。

「目が効くのもよし悪しですね」
「いい加減なもんなんすよ」
「というと?」


詳しく説明してくれた。
みな「目」は持っているそうだ。
見た目で選ぶのは百発百中らしい。
しかし、食べて「本マグロだ」と
違いがわかるプロは5人に一人らしい。


「?」

では、一体「目」は何なのだろうか?
自分では「正しい」を知っているが、
その「正しさ」を役立てられない。

なるほど!

「医者の不養生」と同じだ!

ちょっと違うかもしれない。

大麻で逮捕される警官か?

もっと離れたかな・・・

女優魂

島さんはいつも妻の心配をしている。
外来でも妻の話ばかり。

風邪で受診した夫、北島さん。
自分のことはさておき、妻である。
「妻も風邪で明日受診する」
そうだ。
今日でなくて明日?

妻は「今日は用事がある」そうだ…

姉さん女房(75歳)は元女優。
レコードを出している歌手でもある。
今も、いわゆる「美人」さんだ。
叱られることを覚悟で偏見を。
美人は「かまってちゃん」が多い。

いつも外来では不定愁訴の嵐だ。

「はいはい、なるほどなるほど」
「ちゃんと、聴いてよ!」

主治医の冷たい医療にスネる元女優。

翌日、姉さん女房が受診してきた。
いつもと様子が違う。

夫の話ばかりしている。

夫婦って面白いと思う。
夫の心配をすることで元気になったのだ。

「心配する」とは実に良薬なのだ。

「主人、大丈夫ですかね?」
「大丈夫、ウチの家族も全滅やったよ」
風邪が流行っているという話をした。
「先生なのにダメじゃない!」
患者さんは医者の不養生に手厳しい。
「たまに風邪引けばいいのです。
それで自力で治せばいいのです」
「スパルタなのね。心配しないの?」
「内心ヒヤヒヤ。演技上手いんです。
かまってちゃんを作らないためにね」
と得意げに語ってハッと我に返った。
プロの前やった…

幸い、ここは素通りしてくれた。
主治医も患者も「天然」だったようだ…