お薬の正しい飲み方教えます

頑なに薬を飲みたがらない人がいる。
「一生飲み続けないといけない」
「化学物質は身体によくない」
こういう信念を持っている人たちだ。

”服薬拒否文化コミュニティ”の住人だ。

現代文化を享受して生活するなら、
少し薬飲んでバランスするのでは?

あくまで個人的見解だが…

人間は文化の影響から逃れられない。

マラソンが”心地よい痛み”になるのも、
文化的教育の賜物である。
マラソンが身体に悪いと信じる人とは
正反対の効果が発生するだろう。

これはプラシーボ効果の説明でもある。

薬効の確認されている薬でも、効くと
信じて飲む方が、より効くそうだ。

効くと信じる気持ちには、
文化が少なからず関係している。
他者からの情報や、フィードバックなど…

もしかすると、科学も文化的信念の
効能を享受しているかもしれない。
とりわけ人間が対象になる医学は、
強く影響を受けそうだ。

文化的信念の効能がなければ、
ヒトの寿命は、ずっと短いかもしれない。

逆に、文化的信念がヒトの寿命を
縮めることもあるはずだ。

「それ身体によくないよ」
という助言が身体によくないのだ。
皮肉にも…

自分の信念で薬を飲まないのは勝手だ。
但し、文化的影響にまみれている
ということは自覚しておいた方がいい。

他人には軽々しく助言しない方が無難だ。

医療従事者は文化的影響の強さも
計算に入れておくべきだ。

口は災いの元

未曾有の台風らしい。

脅威となる極端な気象。
地球のつながりを感じる機会だ。

赤道に近い低緯度の高い海水温。
上昇気流が生じやすいことによる、
積乱雲の連続的発達、熱帯低気圧。

エネルギー保存の一形態だ。

今まさに被災された方にとっては
それどころじゃない。
損失が最小限になるよう
お祈り申し上げます。

数年におよぶ嘔吐と腹痛が改善した
和多田さん(76歳、男性)は言った。

「治すのは自分だよ。
先生にそう言われましたよね?」

言っていない…

「治すのは自分」「自分で治す」
あまり好きではない言葉だ。

「治るのは自分だ」なら
百歩譲ってOKとしよう。

「ぼくの身体じゃないからね」
患者さんに対してよく言う言葉だ。

病を治すのは他者だ。
自分を除くすべての存在だ。
食べ物も含め、関係者全員のお陰だ。

ヒポクラテスから綿々と続く知恵の集積。
それに携わった医師、患者、研究者。

そして家族や友人たち。
時代や地域性の運もある。

「自分で治す」の「自分」って誰?

もちろん医者を選ぶ、情報の取捨選択は
自分でやることかもしれない。
しかし、潜在的な存在は無限にある。
現に今、和多田さんは受診している。

最後に言った。
「和多田さんも他の人を治す材料なのよ。
壮大な人体実験の末、生き残った医療を
享受しているわけでしょ?」

患者さんの治癒で医師も成長する。
治癒は他者にも影響するから素晴らしいのだ。
自分は治る存在であり、かつ治す存在なのだ。

人体も自然の一部。
様々な因果が重なって存在している。
エネルギーのやり取りに過ぎないのだ。

突然壮大な説教をされた。
和多田さんも災難だった。

令和の医者坊主

「運動してはいけません」

千田さん(45歳男性)はある医師に
2年前そう忠告された。

レントゲンで異常があったそうだ。

その忠告をマジメに2年間守っていた…

今回当院で検診を受けた。
コレステロールが上がっていた。
千田さんは自己流で頑張った。

3ヶ月後、見事に数値は改善していた。

「すごい!どんな工夫したの?」
「運動しました」
「効果テキメンやね」
「もともと運動は好きなんです」
「ほう」

「医者に言われて止めてたんです」

胸部写真は現在全く問題なし。

運動制限の必要はあったのか?

とにかく千田さんは前医に対して
不信感を抱き、当院へ来た。
「運動の成果ですかね?」

千田さんは訊いてきた。

「運動を禁じた前医のお陰でしょ!」
そう答えた。

千田さんはずっと運動が好きだった。

医師に止められるまでは続けていた。

止めている期間があったからこそ、

運動の効能がわかったわけだ。

習慣を止めることで気づくことができた。
どんな過去も肯定しといた方がいい。
今が良いなら過去はすべて肯定だ。

すべては必要な経験だったのだ。

我ながらお坊さんのような説法だ。
ちなみに千田さんはお寺の住職である。