抗体検査


大学時代の親友から抗体検査キットを
寄贈してもらえることになった。

スタッフの人数分の抗体検査キットを。
もちろん「新コロ」用のキットだ。
素直に嬉しい!

親友は小児科医だが、
大人も診る決意をした。

クリニックのそばのプレハブで
「発熱外来」を開くことにしたのだ。

小児科医の医師が大人の診療もする。
実は、このご時世なかなかできない。
誰も責任を取りたがらない世の中だ。

「原田に刺激受けたんや」

そう言ってくれたことに恐縮した。

「孤軍奮闘」という言葉は嫌いでは
ないが、独りでは何もできない。
そして、何も動かない。
他にも多くの仲間が行動を始めている。
嬉しいし、刺激を受けている。

親友のクリニックでは、自費での
抗体検査も導入するそうだ。
IgM、IgGのどちらも検査できる
タイプらしい。

結果の評価の仕方と患者さんへの
フィードバックについて少し助言した。
どれほど想定しても必ず想定外が出る。
出たとこ勝負!全部勉強!

どうってことない助言のお礼として
キットを寄贈してくれたのだ。
関西在住で新コロ抗体検査に
ご興味ある方は是非ご連絡下さい!

ソウル・パワー

「絶対に治らないって言われました」

堀内さんは60歳の女性。
昨年初めに脳卒中を発症した。
右半身の麻痺が残った。
退院後、在宅診療開始となった。

蕎麦屋の女将をしている。
在宅を開始して半年ほど経過した。
「治らないんですよね」
訪問する度に堀内さんは嘆く。

週3回店に出るようになった。
看板娘だった堀内さんは、
お客さんに待望されている。

階段の上り下りはもちろん、
家の中の用事もこなしている。

ただ、右半身の麻痺は残っている。
少しずつ改善はしているのだが、
最初に言われた医師からの言葉が、
足かせになっている。
リハビリの熱量に現れる。

堀内さんの寝室にはピアノがあった。
「堀内さんピアノ弾くの?」
「いえ、私は弾きません。
娘が小さい頃弾いてたピアノです」
「ピアノ始めたら?」


とりあえず左手で和音だけでも
弾ければ、弾き語ることができる。

「歌好きでしょ?」
「大好きです。ソウル音楽が」
「趣味合いますね!僕もJBとか
アレサ大好きなんですよ」

堀内さんはディスコソウル好きだ。

てな話をしているうちに、
ピアノを習うことになった。
娘のバイオリンの先生を紹介した。
堀内さんの娘より年下だ。

片麻痺の患者さんを指導するのは
もちろん初めてだそうだ。
先生にとってもチャレンジだ。

店に出る。ピアノを始める。
「治ってるじゃん!」
「でも治らないって言われたんです」


すべての医者に告ぐ。
せめて「あくまで現在の医療では」
とか「治る可能性はある」とか
くらい言えよ!


責任を負いたくない。
全く理解できないわけではない。
でも医者の言葉は重い。
患者さんの残りの人生を
どう思っているのか?


この麻痺を何とかしてやろう!
内科医のチャレンジだ。

厄介な痛み

口内炎…

ちっぽけな存在が人生のクオリティを
とてつもなく下げる。

しかも厄介な場所にできている…

内科医の仕事は「しゃべり」が
大半を占める(はず…)。
しゃべるたびに傷口が疼く。

いつもより少し無口な主治医。
余計なことをしゃべらない分、
長い握手で胡麻化す。
患者さんの痛みに心底
「共感」できる日になった。


痛みにも「波」があるのがよくわかる。
対面する患者さんによって
痛みの「質」が変わるようだ。

交感神経の活動のせいか?
唾液分泌量と関係があるのかも。

これは「実際の痛み」なのか?
それとも「余韻」なのか?
それとも「恐怖」なのか?
得意の「忘却テク」も駆使する。

効果は?

あった。
いつもより治りが早い!

しかし、努力を水の泡にしかねない
予定が夜に入っている。
友人の結婚式の余興の打ち合わせ。
場所は赤坂の激辛韓国料理だ!
新婦が激辛好きゆえのチョイス。

「ええい、なるがままよ!」
傷口に塗りたくるように食った。
筆舌に尽くし難い痛み…
短時間で麻痺したようだ。
数分で舌好調。

一夜明けて今朝はほぼ完治。
重症度からすれば治癒速度は
かなり早い方だと思う。

「激辛塗りつけ療法」は
誰にも勧めるつもりはない。
検証するつもりもない。

痛みはもちろん嬉しくない。
だけど永遠の痛みなんてない。
その確信は大切。
自分で人体実験するのも大事。

どうせ他人には理解できないのだから…