おにぎり文化


「たけのこご飯作ったから」
患者さんがよく差入れしてくれる。
妻不在のときは本当に助かった。
塩分を控えめにしている所が可愛い。
主治医にホメられたいのだ。

夫婦で弁当屋を営む中山さん。
前から人気店だが、コロナ下で
一層行列している。


夫婦ともに悲鳴を上げている。
嬉しい悲鳴?
本気でヘトヘトになっている。
もともと欲の薄い地道な弁当屋さん。

「マスクするから暑くて暑くて」
フェイスシールドは無理だった。
一層暑いし、火で変形してしまう。

「前はマスクしてなかったじゃん?
マスク外して調理すれば?」
「そうはいかないよ~」


客の目が気になる。
変な話だ。
コロナに感染している店主から
弁当を買う客はいないだろう。
マスクごときではもう遅いでしょ?

寿司屋にいたっては素手で握る。
握り飯も日本独特の文化だ。
他人の調理したものを食べる。
その信頼感はどこから来るのだろう?

『医療従事者へ感謝の弁当、
医師や看護師53人食中毒』


こんなニュースが目に入った。
不謹慎だが思わず笑ってしまった。

「よかれ」と思ってやってことだろう。
「ありがたい」と食べたのだろう。
梅雨入りも重なり、不運だったか。
大量の弁当を作る経験は
あったのだろうか?

店名まで晒されていた。
気の毒だと思うが、プロだから
仕方がないという意見もある。

裏を返せば
「バイオテロはチョロい」
ということでもある。

他人の作ったものを食べる。
お互いの信頼関係のなせる業だ。

そういえば日本の握り飯は
いかにも気がこもっている。

まあ、これからも差入れを嬉しく
美味しく食べるんだろうなあ。

親の介護のこと


「子供に迷惑かけないように」
下町の高齢者はみなそう言う。
黒澤さん(79歳女性)もその一人。
79歳には見えない元気さだ。

10年前に前医から引き継いだ。
「オーマイガーっ!」
だった。
糖尿に高血圧に不整脈…
どれも超バッドコントロール。

主治医に恵まれた(黒澤さんが
そう言っている…)。
両方の両親の介護に全力を尽くした。
子育てと仕事をしながら。


その苦労の記憶ゆえ同じ思いを
子供にさせたくない。

黒澤さんに言った。
「苦労かけた方がいいんじゃない?」
「なんでですか?」
「周りの評価が上がりますよ、子供の」


親の面倒をしっかり看て立派だった。
町内の人はみな黒澤さんを尊敬している。
その「信用スコア」はカネでは買えない。
黒澤さんが生き延びるに当たり、信用は
有形無形に変化している。


迷惑?
親は迷惑な存在か?
もし、親を迷惑だと思ったなら、
その人の将来は約束されるだろう。

人は「過去」を信用し、
「未来」を信頼するようだ。

迷惑な親を持つ人を誰も信頼しない。

良い親だった?悪い親だった?
関係ない。
子供次第で定義は変わる。
迷惑な親を持つ子供の信用スコアは
マイナスに決まっている。

親を介護するのは先人の「知恵」だ。
子供が生き延びるための。
だから親は図々しくいればいい。


子供がいない人?
それは幸いだ。
周囲や主治医との関係性を密にする。
そのチャンスが増える!