モテますか?


國武さん72歳は直腸がん術後だ。
無事5年経過した。
昨年、妻がステージIVの食道がん
から5年経過し、放免された。
娘は乳がんの手術から4年経過した。

つまり、妻、本人、娘と
毎年がんを発症し、手術した。

おせっかいな人は
「お祓いした方がいいんじゃない?」
などと言うかもしれない。

しかし、國武家は持ち前の明るさで
ずっとアッケラカンとしていた。

アッケラカン主治医が舌を巻くほど。
性格も治癒を手伝った可能性はある。

最も軽症な娘も、間違いなく
来年を無事に迎えるだろう。

國武さんのお父さんは当院の
在宅診療患者だった。
呉服屋をしていて、粋な人だった。
100歳近くだったが、ヘルパーからも
よくモテた。


健康長寿の遺伝子?
それもあるだろう。
だけど、モテる男は概して長生きだ。

そういえば「モテる」って不思議だ。
周囲を健康や幸せにするのかもしれない。

よし!
堂々と「モテ」を追求しよう。

大盛り無料

宅配弁当の鈴木さん。
当院でも注文している。
安くて美味しいと評判だ。
家族経営をしている。

最近店主が大腸がんで亡くなった。
心配したが残った家族、妻(70)と
息子(42)で経営継続している。

「最近お弁当のご飯多くない?」
「そうよねえ!」
「息子がご飯を盛ってるのかな?」
「若いから自分の分量なのよ!」

スタッフの会話が聴こえてきた。

別室から参入した。
「お母さんとちゃいますか?」
突然参入してきた医者に驚いた。

持論を展開した。

ご飯を盛っているのは母親だ。
以前は弁当作りにノータッチだった。
主人が死んで母も参加した。
大抵男はケチだ。
お母さんの方がご飯を多く盛る。

「そうかもしれない!」
スタッフは納得して笑っていた。

鈴木さんは自分の患者さんだ。
ケロッと乳がんを克服した人だ。
茶道の先生もしている。
ということは「おもてなし」を
熟知している。

気性を知っているからわかる。

がんばれ!

ちょっと声が聴きたくてさあ

「急ぎの電話?」
娘にそう訊かれるそうだ。

電話が遠くに離れていった。
携帯しているにも関わらず。

そう感じている高齢者は少なくない。

たしかに電話をかけにくい時代だ。
相手にも都合がある。
それは理解できる。
世の中そんなに大した都合あるか?

親からの電話以上に?

小坂さんは76歳男性。
娘が二度目の乳がんの手術をした。
病状は安定しているはず。
しかし、娘からメールが来ない。
以前はしょっちゅうメールが来た。
どうでもいい内容のメールが。
病状が芳しくないのかな?
気遣いをする小坂さん。

電話をかける勇気はない。

ときに文章は重くなる。
文面にすると見直すことになる。
それが術後の娘さんにはキツイのでは?
自分の愚痴を見直したくないのでは?
医師としてそんな風に説明した。

小坂さんは納得したようだった。

良くも悪くも言いっ放せる。
それが話し言葉の利点だ。

メールは時空両方ズレる。

「ちょっと声が聴きたかってん」
親子でそんな余裕も持てない。

そんな文明はいらない。