インフルエンザ様

「冬は忙しいでしょ?」
「”かきいれ時” ですからね」

往診患者さんを前に、
不謹慎な物言いを反省…

寒くなると血圧も上がる。
外出も減り、食事量が増える。
太ると血糖値も上がる。

脳卒中や心筋梗塞も増える。

特に、呼吸器感染症だ。
風邪に始まり、気管支炎、肺炎。
最近は年がら年中の印象もあるが、

やはり冬は風邪が多い。

日本は「インフルエンザ大国」と
揶揄される。

大げさに取り扱い過ぎだ、と。

よく言えば、他人に迷惑を
かけないように心がける

文化・風習と言えなくもない。

39度に発熱した患者さんが来る。
インフルエンザ検査をする。
「検査結果は陰性です」

「よかったあ!」

逆だ…
インフルではないのに39度!?

熱が出る病はゴマンとある。
エボラ出血熱だったらどうする?
インフルなら2~3日で治るけど。
治療法のない感染症や

未知のウイルスだったら?

このまま死ぬまで39度だったら?

確率は極めて低いが…

いずれにしても冬は忙しい。
既に風邪は多く、連日満員だ。
ウイルスも医療機関の経済には

貢献している。

またまた不謹慎と叱られるか…

うちの診療所は自分を含め、
全員が従業員。
多忙でもインセンティブなし。
それでも楽しく仕事をする
全スタッフが誇らしい。

がん!?ガーン!

「5年生存率は44%です、だって。
あっさり言うのねえ、今は…」

原口さんは70歳になったばかり。
「揚げ物」大好き女子だ。
酒とタバコも止められない。
当院には、高血圧と高脂血症。
一応グッドコントロールだ。

GW中にお腹の不調で入院した。
紹介先では「胃腸炎」との診断。
食べ過ぎが原因と説明された…
この際、しっかり調べてもらって。
そう指示した。
なんやかんや検査をした。
結果、胆管がんが見つかった。
先日入院先から報告書がきた。
「あっちゃ~、マジか…」
原口さんは不定愁訴が多い心配性だ。

この病名を受け入れ、耐えられるか?

先日原口さんが久々に来院した。

杞憂だった。
開き直るタイプだった。
文字通り「腹を括って」いた。
スッキリした表情だった。

原口さんは冒頭の言葉を発した。

別件で見つかったラッキーなケース。

外科医からはそう説明されたそうだ。
別件かどうか厳密にはわからない。

人体はつながっているからだ。

手術日程もすんなり決まった。
経験豊富な名医が執刀することになった。
胆道系がんは特に「術者」が重要だ。
執刀数が多いほど信頼できる。
原口さんは非常に幸運だ。

5生率は、あくまで「現時点」での話だ。
5年前の5生率はもっと低い。
10年前なら絶望的な数字だ。
かつてがんは不治の病だったからだ。
がんが治る時代になりつつある。
医療は秒単位で進化している。
がん治療の未来は明るい。
原口さんの未来は明るい。
現段階で44%ということは、
実質五分五分以上の確率だ。

そんな話をした。

「タバコは?」
「さすがに止めたわよ」
「酒は?」
「飲む気しないわよ」
「OK!完治したら祝杯しましょ」

一緒に酒を止めてあげることにした。
5年後解禁、あっという間だ。