ホンマに要るの?

「片足立ちの練習してるんです」

栗原さんは78歳の男性。
得意げに言ってきた。

訊いてみた。
「何で片足立ちを?」
テレビでやっていたそうだ。
目を閉じて何秒立っていられるか?
それによって、老化具合が云々…

それはそうかもしれない。
(それだけのはずはないが…)
でもそれが上手くなることで
どんなメリットが?


脳トレも同じだ。
その能力要る?
的なトレーニングが多い。

使わないから衰える。
使ってないから開発されていない。
片足立ちが下手になったのなら、
それは片足立ちしなくても済む
人生を送ってきたからでは?


これから先の人生どれほど
片足立ちが必要だろうか?
立って靴下を履けるように?
座って履けばいいじゃないか。

残された人生時間、
他にやることがあるのでは?


脳トレも同じように思う。
死の直前まで『ナンプレ』に
精を出していた人もいたなあ。

必要か否か?
維持すべき機能か否か?


最近少し走っている。
もっかい見直そうか…

便秘も7倍?

「女は7の倍数に気をつけろって本当ね」
「?(主治医)」
「テレビで言ってた」
「うちテレビないんよ」
「男は8の倍数、女は7の倍数って」
「知らん」
「70歳で弱ったのよ。7の倍数だもの」

それを「暗示」という。

田島さん(70歳)はテレビ好きだ。
持病は骨粗鬆症と血圧が少し高いくらい。

不調の原因?
それは複雑に絡み合っている。
天候もあるし、商売の問題もある。
人間関係も大いに影響する。
7年か8年周期で健康状態を見直す。
それは決して悪いことではない。
しかし不調の原因の追認は無意味だ。
「不調なのは年齢が7の倍数だから」
では、あきらめにつながるだけ。

田島さんは使用法を間違っている。

「最近便秘がひどくて」
「なんで?」
「運動してないからかな?」
「なんで?」
「テレビばっかり観てるからかな?」
「運動もせずにテレビばっかり観てる人は

ウンコせんでエエです!」

なぜか島田さんは喜んでいる。
叱られているのに…
その顔が可愛かったので、ちょこっとだけ
下剤を出してあげることにした。

デンジャラス・ゾーン

数年前キューバで旅をした。
行く前も後も周囲から
「怖くないの?治安とか」
散々言われた。
実際のキューバはかつて訪れた
どの国よりも安全だった。
人は穏やかで、夜は早々静かだった。
情報がアップデートされていない。
キューバ革命時の混乱や、移民の犯罪。
その辺りで止まっているのだ。
キューバ、野球、ラテン、社会主義。
50年間それだけ。
興味がない国は危険な国になるようだ。

在宅患者さんの高杉さん80歳。
足が痛くて自宅にいる時間が増えた。
最近はほとんど家の外に出ない。
往診するといつも情報番組を見ている。
うちにはテレビがないので、
往診患者さんの家のテレビは新鮮だ。
つい、目がそちらへ向かってしまう。
番組構成、コメントに正直イラつく。
あえて番組名は出さないが、
どの局も似たり寄ったりだろう。

「下半身の一部が切り取られた死体を
女性が湘南で見つけたニュースです」
センセーショナルな予告でCMに入る。
「見つけた人トラウマになるわよねえ」
とナース。
「怖い世の中だからねえ」
という高山さん。
日本は世界で最も平和で安全な国だ。
殺人発生率は10万人当たり0.28人。
(ちなみにエルサルバドル82.84人)
年々、数字上の凶悪犯罪も減っている。
家にいると世の中は危険になるようだ。

一層高杉さんは引きこもるだろう。

テレビが娯楽だった時代がなつかしい。