マスクした方がいいんだろうけど・・・(その2)


マスクを着用することにした。
患者さんから苦情(?)が出たそうだ。
根拠や言い分は色々あるのだが、
忖度(そんたく)することにした。
https://imcjapan.org/medicalcoaching/マスクした方がいいんだろうけど・・・?fbclid=IwAR3qf_kGsVzWOoQib0enhKfhnGe8w0dJvhik7U5YlU_X3YgK9OtJXt2RVB8

患者さんを安心させる貼り紙も作った。
幸い、子どもの発表会で慣れた。
マスク着用を義務付けられたからだ。

一層「眼」で話す必要がある。
大変だが、それも面白い。
挑戦だ、と思って楽しむことにしている。


発表会で行き交う父兄や、先生たちと
マスク越しに挨拶したのだが、
なんとなく避けられている気がした。
挨拶の心が折れそうになった。
アカン、良くない口ぐせだ。

子どもは元々眼を覗き込む。
「一億総マスク」も「眼で伝える」を
鍛える訓練になれば平和につながる。

ソウル・パワー

「絶対に治らないって言われました」

堀内さんは60歳の女性。
昨年初めに脳卒中を発症した。
右半身の麻痺が残った。
退院後、在宅診療開始となった。

蕎麦屋の女将をしている。
在宅を開始して半年ほど経過した。
「治らないんですよね」
訪問する度に堀内さんは嘆く。

週3回店に出るようになった。
看板娘だった堀内さんは、
お客さんに待望されている。

階段の上り下りはもちろん、
家の中の用事もこなしている。

ただ、右半身の麻痺は残っている。
少しずつ改善はしているのだが、
最初に言われた医師からの言葉が、
足かせになっている。
リハビリの熱量に現れる。

堀内さんの寝室にはピアノがあった。
「堀内さんピアノ弾くの?」
「いえ、私は弾きません。
娘が小さい頃弾いてたピアノです」
「ピアノ始めたら?」


とりあえず左手で和音だけでも
弾ければ、弾き語ることができる。

「歌好きでしょ?」
「大好きです。ソウル音楽が」
「趣味合いますね!僕もJBとか
アレサ大好きなんですよ」

堀内さんはディスコソウル好きだ。

てな話をしているうちに、
ピアノを習うことになった。
娘のバイオリンの先生を紹介した。
堀内さんの娘より年下だ。

片麻痺の患者さんを指導するのは
もちろん初めてだそうだ。
先生にとってもチャレンジだ。

店に出る。ピアノを始める。
「治ってるじゃん!」
「でも治らないって言われたんです」


すべての医者に告ぐ。
せめて「あくまで現在の医療では」
とか「治る可能性はある」とか
くらい言えよ!


責任を負いたくない。
全く理解できないわけではない。
でも医者の言葉は重い。
患者さんの残りの人生を
どう思っているのか?


この麻痺を何とかしてやろう!
内科医のチャレンジだ。