マンガってスゴイ!(その1)

早い話が
漫画はあなどれない
ということだ。

自転車で墨田川沿いを走っていた。
谷口君の練習してところだ…
漫画『キャプテン』の主人公だ。
思春期、キャプテンに大いに影響された。

結局、10年以上野球に打ち込んだ。

もうしばらく走っていると泪橋。
矢吹丈はここでロードワークしてたんだ…
言わずと知れた『あしたのジョー』。

すぐにボクシングジムに入門する単純さ…

自分の人生に大きな影響を与えた2作品。
えっ、そんなとこで働いているのか!?
衝撃だった。
偶然にしてもすごい。近すぎる…
しばらくして、気づいた。
作者の「ちばてつや」と「ちばあきお」。

二人は実の兄弟だった…

彼らは幼少期をこの辺りで過ごした。

だから風景のリアリティがすごい。

この地に居心地の良さを感じた。
根を張り、仕事をしているこの地。
自分をこの地に導いた無意識の力。
漫画が作った原風景。
リアリティを感じさせれば現実なのだ。
漫画でも映画でも落語でも…

恐怖に打ち克つ方法

早い話が
取り扱えない言葉は捨ててしまえ!
ということだ。

佐藤さん(72歳)はうつ病だ。
最近状態はどんどん改善している。
兄弟で経営していた会社を昨年辞めた。
追い出される形での退社だそうだ。
仕事を辞めてうつ病を発症した。
当院には糖尿病でかかっている。
うつ病が悪くなると血糖値が上がる。

心と身体はつながっていると実感する。

「話をして相手を困らせるのが怖い」
佐藤さんはそう言った。
精神科的にはうつ病への対処として
「励ましは禁物」など色々ある。
こっちは内科医。

我流だが、正直に医療をするしかない。

「”怖い”は幻想よ」
「はあ…幻想?」
「ダイレクトな感情ではないでしょう?」
たとえば、嬉しい、悲しい、楽しいなど。
ある出来事に対して生じた感情だ。
では「怖い」や「恐怖」は?
起こりそうな出来事への感情だ。
自分の「期待」であり「幻想」だ。
6年前にキューバに行ったとき。
3500m上空からスカイダイビングをした。
飛ぶ前は「怖い」だが、スリルを楽しんだ。

期待以上のスリルだった。

世間で「怖い」とされているもの。
ジェットコースターやお化け屋敷、
ホラー映画はすべて娯楽だ。
「怖い」からこそ、みなやりたがる。
スリルを楽しむ未来が「怖い」なのだ。

だから「怖い」は娯楽への期待なのだ。

スリルが嫌いなら体験しなければいい。
それは「イヤ」という感情だ。

繰り返す。
「怖い」は期待にすぎない。
期待するのは、ほかならぬ自分。
幻想を作り出すのも自分。
恐怖に打ち克つ方法?

「ま・ぼ・ろ・し」だと知ることだ。

「自分が情けない」
とも佐藤さんは言った。
「情けない」はあってもいい。
「で、何?」だ。
理想の自分ではないから情けないのだ。

「情けなくない」自分になればいい。

うつのど真ん中ならこんな話は難しい。
佐藤さんは1歳の孫に救われている。
可愛くて仕方がないらしい。

赤ちゃんにうつ病はいない。
赤ちゃんは常に体験先にありきだ。
体験をして、感情が生じる。
その感情を言葉にできない。
言葉化できない感情に満たされている。
だから赤ちゃんのそばにいると

心地いいのかもしれない。

世界には邪魔な言葉が多い。

取り扱えない言葉は捨ててしまえ!
今日から「怖い」は禁止だ。

「絶対死なんといて下さいよ。
ボクのために生きてよ、佐藤さん。
死なれたら一生トラウマになるで」

最後にしっかり怖がらせておいた。

治り上手

早い話が
心配しながらうまくやれることはない
ということだ。

たとえばスポーツの試合。
試合中に心配している選手は負ける。

刻一刻と変わる状況に対応できないから。

音楽の演奏も同じ。
ステージに上がるまでは世界一下手と思え
ステージに上がったら世界一上手いと思え
とはエリッククラプトンの言葉だ。

心配しながらの演奏は聴いてられない。

スポーツも演奏も、持っているスペックを

最大限発揮し、淡々とやるしかない。

病への対応も同じはずだ。
子どもは症状そのものに正直だ。

「心配」という概念がないからだ。

対して大人は「心配」と格闘する。
「いつまでも続くのだろうか?」
「死ぬような病ではないだろうか?」
痛みなどの症状が四六時中が続く、
ということはまれだ。
何かに従事していれば忘れる。
寝てるときは気を失っている。

でしょ?

子どもはとてもわかりやすい。
症状が消えたら元気に遊んでいる。

つまり症状に「連続性」がないのだ。

大人は平気なときにまで病を感じる。
「アイスピックで刺されたような痛み」
などと経験のない表現を使ってまで、
再現しやすい状況を作り出す。

安静は貯金できるものではない。
症状がないときは何かした方がいい。
しんどいときに安静にすればいい。
少々無理するくらいでいい。
どうせできない無理はできない。
必ずリミッターが働くからだ。

少なくとも、
ここからここまでが「症状」
ここからここまでは「妄想(心配)」

その仕分けをするクセはつけた方がいい。

信頼する治療法を粛々と遂行する。
心配していては治癒も下手になる。