オカルト?ちゃうちゃう

行動や習慣を変えたい。
そう思っている人は多い。

本屋に行けばよくわかる。
そういうよく本が売れている。

変わろうという決意はあるのだ。
決意が持続しないのだ。

なぜか?
意志の弱さ?
では意志って何?

これまた抽象的な言葉だ。
決意とよく似た言葉を使って
説明しても意味はない。

決意を忘れるからではないか?
忘れても人生は送れるからだ。
当然だ。
決意する前も人生を送れていた。
現状を持続する意志は強いと
言えなくもない。

決意を忘れないことが大切だ。
忘れない工夫の一例を紹介する。

生活習慣病の患者さんのケース。
習慣を変えないと治らない。
(変えずに薬だけ飲む人もいるが…)

たとえば
「お腹がへこまないんですよ」
という患者さんがいる。

忘れない環境づくりが必要だ。

ジムに通う?
ランニングする?
間食しない?
食べすぎない?

全部ムリに決まっている。
良い習慣とは何か、は皆知っている。
できないから医者に来ているのだ!

うちのやり方はこうだ。
「へこむようにしてあげます」
と言って、お腹を触る。
そして念を送る(←大事)。

真剣な顔で
「へこむ念を送っておきました」
これでOK。

ホントに効くのだ。

なぜか?
医者にお腹を触られて念を送られた。
それは記憶に残るからだ。
そう簡単に忘れられない
非日常経験だからだ。

自分のお腹を触る度に思い出す。
(主治医に念を送られたお腹だ!)

主治医との約束を守りたい
患者にはとてもよく効く。

ご利益が欲しい人!
触ってあげますよ♡

医者は怖い?

当院に来た子供たちは伸びる。
受験も成功する、部活でも活躍する。

ご利益が欲しくて、子供を連れてくる
親もあとをたたない。
(自ら宣伝しているという説もある…)

子供の成績を上げるのは簡単だ。
子供には「権威暗示」が効果がある。

権威暗示とは、相手が偉い人だと
思うことによって、暗示がかかり
やすくなることである。

親の権威が効かなくなっても、
教師の権威が効かなくなっても、

医者の権威はかなり効く。

社会が医者の権威を醸成して

くれているからだ。

その医者に
「君は大丈夫、絶対いける」
と言われれば、成功する確率は
確実に上がる。

ただし、このブログを読まれたら
効き目が下がるかもしれない。

ネタバレというやつだ。

そして、自分の子供にも効果が
あるかどうかは知らない。
権威失墜する面を多々目撃して

いるからだ。

中田さんの子供は小学校4年生。

最近野球部に入った。

「ピッチャーやりや。野球は

エースで4番しかオモロないで」

それだけで目の色が変わった。

お母さんも変貌に目を丸くした。

「子供は素直なの!大人はアカン。
更年期も全然よくならんし!

素直に治りなさい!」

治らない患者にキレる医者。
またもや権威は失墜した。

死ぬまで生きる

岡田さんは膵癌と診断された。
診断時には、手術不能だった。

岡田さんは一年前、心筋梗塞になり、

大きな病院で入退院を繰り返した。

入院中は診断できなかったのだ。
心筋梗塞で入院していたからだ。
こういう「盲点」は発生し得る。

専門が細分化され過ぎているのだ。

退院後、異常に血糖値が上昇し、

黄疸も出て初めて見つかった。

年齢もあり、緩和ケアを勧められた。

本人と家族は化学療法を希望した。

病状の進行と副作用で食べられない。

往診依頼となった。

久々に会った岡田さん。

再会を泣いて喜んでくれた。

「えらいスリムになったね」
「食べられないんですよ」
「おかげで糖尿と血圧治ったね。

膵癌と合わせて2勝1敗やね」

そこに妻が現れた。
「お粥も食べないんですよ」
「じゃあ鰻(うなぎ)にすれば?」
妻は目を丸くした。
岡田さんは、

「鰻なら食べたいかも!」

こういうことはよくある。
鰻のタレはよく出来ている。
とにかくタレでご飯が食えれば、

上出来だ。

「お茶でもどうぞ」

奥さんに缶コーヒーを手渡された。

「微糖」と書かれてある。

「ぼく糖尿じゃないんで、糖入りで
いいんだけど」
岡田さんは大笑いしていた。

今日初めての満面の笑みだった。

神棚、仏壇、ご先祖様の写真。

名言、格言さまざま貼ってある。

「みんなに守られているんで」
岡田さんは言った。
「一番ご利益(りやく)あるのが来たね」

図々しく主治医は言った。

「トイレ美術館も見ていって下さい」
トイレにも名言格言豪華絢爛だった。

見覚えのある字があった。

「うす味にしたお陰で、素材の味が

よくわかり、新たな喜びを得た」

外来で書いて手渡した口ぐせだ。

毎日トイレで呟いてくれてたんだ…

もう塩分はいくら摂ってもいい。
剥がした。
「次回もっとええの書いてくるよ」

岡田さんはニッコリしていた。

玄関で岡田さんの声が聞こえた。

「せんせ~い!」
さっきと全然違う、よく通る声!
「パソコン忘れてるよ~!」
奥さんは再度目を丸くしていた。

「こんな声いつ以来かしら…」

家族は「治す」を選んだのだ。
あとはやるだけだ。