お風呂は首まで浸かると毒なんですか?

外来診療中に質問されました。色々とツッコミどころのある質問ですが、とりあえず「何でそんな質問を?」と訊ねました。質問された患者さんは「首まで浸かる派」だそうです。知人から「お風呂に首まで浸かるのは身体に毒だ。半身浴にしなさい」と助言(?)されたそうです。

(どっちでもええやんか)と心で思いながら、「首まで浸かった方が絶対良いですよ。私もそうしています。」お答えしました。

欧米では大抵バスタイムはシャワーで終わりです。伝統的に日本の温泉などでは、残っている絵などから推測するに首まで浸かっていることが多いようです 特に露天で半身浴は危険ですらあります。個人的意見としては、浴槽に浸かることで浮力を利用して体を弛緩させることが、健康に役立つのではないかと思っています。ただ、私のように入浴中に読書をするタイプはのぼせてしまわないように半身浴がいいと思います。

ところで「半身浴」という言葉が使われるようになったのはいつからなのでしょうか?それほど古い歴史は感じられません。うがった見方をすれば、ビジネスが絡んでいるのはないかと思ってしまいます。日本の住居事情からして大きいお風呂は作りにくいし、自宅でもできる健康法として、効能があとづけされた可能性もあるのではないでしょうか。

いずれにしても世間は健康ブーム真っ盛り。メディアで「タイトル(ネーミング)」を与えられたら、関連商品は爆発的に売れます。一過性の流行で消えるものも数知れず。「半身浴」は生き延びている部類でしょう。自ら試し、相性の合う方法を見つけて健康生活に取り入れるのはとても結構なことだと思います。

ただし注意が必要です。自己責任で試すのは全く問題ありません。他人に助言する場合は気をつけて下さい。良いと思う情報を人に勧めたくなる気持ちは理解できます。メディアの情報は大きく有害なものは少ないと思われます。なので、単に「情報提供」するのはオーケーです。問題は、他人がやっている方法を否定することです。前述した「毒」という言葉ははっきり言って強すぎます。「毒」という言葉は後々効いてきます。無意識で自分の行動を(毒ではないか?)と判断する可能性があるのです。質問した患者さんの場合、毎日首まで浸かるたびに、深層意識で「毒」という言葉が害を及ぼす可能性があるということです。絶対に他人の健康法を根拠なく否定することはやめて下さい。自分に対しても気をつける必要があります。ネガティブな言葉を使って、何らかの行動を「定義」してしまうと、自分の行動を制約することになり、自分自身の首を締めてしまうことになります。自分の口元から出てくる言葉には厳重に注意する必要があります。

最後になりましたが、口元から発する言葉に注意して健康になれる本を出版しましたのでちゃっかり宣伝しておきます。『病は「口ぐせ」で治る!』(フォレスト出版)という本です。是非、ご一読下さい。


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原田文植