「朝、心臓がチクっとしました」
心配性で不安症の松田さん86歳。
「今は?」
「治まってます」
これまでも散々調べた。
年齢不相応に健康体だ。
「松田さんは86歳でしょ?生まれて
今日まで何回脈打ったと思う?」
「えっ?すごい数ですよね?」
「大体ねえ…(頭で軽く暗算)…
30億回くらい」
「!(絶句)」
1分間の心拍数は大体60回程度。
1時間で大体4000回。1日10万回。
1年で4000万回。
80年で約30億回という計算になる。
休まず働き続けて30億回。
多少の誤作動はあるだろう。
そんなものは「誤差」だ。
実際、ほとんどの不整脈は無視できる。
つまり病的ではないものが大多数だ。
松田さんは驚きつつも納得した。
全然違うスケールを出すのは効く。
話はそれるが、どんな悩みでも同じ。
「誤差化」することで気にならなくなる。
「時空」を変える作戦もその一つだ。
自分の置かれてる状況は充分幸せ。
終戦直後や、ニジェールに比べれば…
「普通にしてりゃあ心臓は止まりません。
何かのきっかけで調整が狂ったとき。
それが死ぬタイミングですよ。
そこには医師でも手を出せません」
松田さんは安心したのか笑顔になった。
医師がギブアップ宣言してるのに…
日本メディカルコーチング研究所
所長:原田文植