親の病

「頭痛」や「腹痛」など個別の症状にやたら執着する患者さんがいる。
検査や投薬を繰り返すことになるが、はっきりした原因がわからない。
そんなとき、お父さんやお母さんの病気や死因を確認すると、「脳卒中」や「胃がん」であることが少なくない。
親の病は印象がよほど強いのであろう。ちょっとした自分の身に起こった症状が「妄想」を呼び起こし、訴えはあたかも重症のようになる。
「症状・病名」に関連する情報も無意識に収集することになり、「妄想」はさらに巨大化していく。
肉親の病は経過や進行を鮮明に記憶しているケースも多い。臨場感を増すことになる。
それらが引き金になって同じ病にかかってしまうこともあり得る。
防ぐ方法としては、まず新たな「論理」を構築すること。
時代が違うし、環境も違う。治療法も違う。それをしっかり認識すること。何より親子とはいえ、別個体である。
次に、「忘れる」ことだ。「覚える」の逆をすればよい。つまり「思い出す」ことをしなければよい。
これには少し努力というか心がけが必要だが、他に考えることは山ほどあるはずだ。
何よりも貴重な「生命時間」を「病に対する妄想」に費やしてはもったいなさすぎる。
親の病をそのまま引き継がないケースの方が多いからこそ、人類は生き延びてきたのである。
「負の妄想」をせず、「忘却」を適切に利用することがサバイバルに必要な能力なのだ。

日本メディカルコーチング研究所
所長: 原田文植

 

 

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