嘘は罪なのか?

「世の中には3つの嘘がある嘘と大嘘、そして統計だ」
ベンジャミン・ディズレーリ(イギリスの首相、19世紀)

「偽相関」という言葉をご存知だろうか?
かなり面白いサイトがあるので見てみてほしい。

”Spurious Correlations”
http://www.tylervigen.com/

たとえば、
「1年間にプールで溺死する人の数と、ニコラス・ケイジの映画がリリースされる数には、66.6%の相関性が認められている」
その他に
「科学や宇宙技術に対して費やされるお金と自殺率の間の相関性は99.79%」
などだ。

気を付けなければならないのは、2つの事柄に相関性が認められても、実際には因果関係がないという事態が存在する。
相関関係≠因果関係ということだ。

「相関関係」とは、二つの事柄のうち、一方が変化すると、他方も変化する関係性のことだ。
「因果関係」とは一方が「原因」で他方がその「結果」で生じたもの、という関係性のことである。
「溺死数」と「映画のリリース数」に「因果」は存在しないだろう。
ニコラス・ケイジのアクション映画に影響されてプールに飛び込んだ人がいる可能性は必ずしも否定できないが…

ちなみに、相関関係が存在しないのに「因果関係がある」と仮説してしまう過ちを「論理的誤謬(ろんりてきごびゅう)」というそうだ。

10年以上前になる。某番組で「納豆食」と「ダイエット」の間に「因果関係」があると結論した。翌日全国のスーパーで納豆が消えるほどの大反響。
数日後、捏造(ねつぞう)があったことが発覚し、番組は打ち切りになった。
こちらは「捏造」なので罪は重い。
広告効果はまさに「禁断の蜜の味」なのだろう。
「論理的誤謬」と「購買意欲」との間には「因果関係」がありそうだ。
いずれにせよ人間には相当「因果関係」が魅力的に映るようだ。

極論すれば、科学というのはすべて「再現性のある因果関係」を求める学問だといえる。
科学者の中には「名声」や「賞賛」だけを望んでいる人もいるが、純粋に「真理」を追究したいと思っている人が大半だ。
研究において、「こうではないか」という仮説を立てた瞬間に「先入観」が生まれる。「捏造」とは縁遠い態度でも「欲しい結果」に近づくように無意識に誘導してしまうのだ。
それを「バイアス」とよぶ。そして、さまざまな「盲点」も生まれる。
ある意味この考え方自体が、「因果が逆転している状況」といえる。
思考の「クセ」から脱却することは本当に難しい。

しかし、誤解をおそれずに言えば、純粋に「因果関係」と断言できるものなどないのだ。
「バイアス」は「誤差」化することができるだけであり、決して「ゼロ」にはできない。観察者の存在がすでに「バイアス」だ。

そう考えてみれば、「騙された!」となるより、「そんなものだろう」という余裕で生きる方が楽しいかもしれない。

 

日本メディカルコーチング研究所
よろず相談所 One Love
所長: 原田文植