忘っぽいのは素敵なことです

「物覚えが悪くなった」「とにかくよく忘れる」
患者さんの訴えの中でも高頻度の悩みです。

実は悩む必要はないのです。
「忘却」とは人間にとって、最も重要な能力の一つです。
イヤなこと、悲しいこと、ツライことが山ほどあります。忘れられなければ、生きていけませんよね?
提言します。
あえて、忘れてみましょう!
忘れる訓練をするのです。間違っても覚えようなんてしない。これで、「忘れる」というストレスからは解放されましたね。どうせ大切なことはイヤでも覚えています。
逆に忘れるつもりで接しても、それでも残るようなものだけが、「本当に重要で血の通った情報」なのです!
ちなみに「忘却」というのは思い出せないことをいうのであって、潜在意識にはきちんと保存されているのです。
たとえば、物忘れで悩む80歳の女性は、20年前に死別した伴侶の誕生日を覚えておられます。今日買うはずだった物のことを忘れてしまっても。
どちらが重要なのでしょうか?
無意識が重要性のランキングをしてくれているのです。
そして、忘れてはならないこと、それは「忘却」という能力こそが集中力の源だということです。なぜなら、フォーカスすべきでない情報を忘却してはじめて、フォーカスすべき対象に集中できるからです。(「集中力」と「忘却」の関係についての考察は、改めて機会を設けます。)

先日、里帰り出産をする妻と3歳の娘とお別れのシーンがありました。ずっと手を振り「お父ちゃ~ん」と叫ぶ我が子の声に不覚にも涙が出そうになってしまいました。
独り新幹線に乗り込み、座席で、しばし淋しさをかみしめた後、読書と仕事に専念没頭。翌日銭湯で小さな女の子の姿を見て、自分の娘のことを思い出し、愕然としました!
丸一日娘のことを忘れていたのです。
私は冷酷な人間なのでしょうか?
否!
これも間違いなく集中力がなす業なのです。


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原田文植