記憶力

早い話が
記憶力は悪い方がいい
ということだ。

「先生に訊くことあったんだけど」
73歳木下さんは小料理屋の女将だ。

医者に言いたかったことを忘れる。
そういう患者さんは多い。
「大した質問とちゃうからですよ」
次回からは書いてくるように。
そう促すが、それも大抵忘れる。

「覚えていることもあるでしょ?」
優先順位の高いものは憶えている。
「お客さんの名前は覚えるの」
さすがだ。
「金づる」は必死で憶える!
「でも思い出すのに必死よ」
木村さんはそう言った。

実はこの「思い出す」が良いのだ。
ひらめきと同じ部位が使われるそうだ。
ここまで出ているのに思い出せない。
イライラするが、あきらめないことだ。
粘りが脳を活性化するのだ!
記憶力が悪いほど実践できる。

逆に良すぎる記憶力に悩む人は案外多い。
ノーベル医学・生理学賞受賞の利根川博士
によると、自身は記憶力が悪いとのこと。
失敗した実験を忘れる。
知らずに繰り返してしまう。
すると、前回と違う発見がある。
世紀の発見もそこから生まれたそうだ。
対して、とんでもない記憶名人の同僚。
朝刊を一行目から暗誦できる記憶力!
その同僚は一向に研究が進まない。
失敗の記憶が邪魔をするそうだ。
「ああすればこうなる…
こうすればああなる…」

別の記憶名人のエピソード。
なんと彼は人の顔が認識できない。
表情ごとに別人と記憶してしまうのだ!
記憶のキャパ同様世の中は実に広い。
記憶名人の苦悩に、自分の凡才を喜ぶ。

いらんことばかり思い出す人がいる。
それは人生時間のムダ遣いだ。
記憶力が悪いと思い出せない。
認知症も捨てたもんじゃない。
忘れることは素晴らしいことだ。
都合の悪いことはさっさと忘れる。
その方が良い。

あれ?何てゆう名前やったっけ?
それでいいのだ!
と、自分を慰める今日この頃…