雑談力の作り方

早い話が
もはや言葉がいらない二人でも
会話はあった方がいい
ということだ。

「最近鼻水が止まったんです」
佐藤さんは76歳の女性。

夫の認知症が進み、施設に入った。
いつも床で寝ていた佐藤さんは、
夫のベッドで寝るようになった。
途端に鼻水が止まった。

佐藤さんの家は古い家屋だ。
低い所にアレルギーの原因物質が
うようよしているのかもしれない。

「旦那に対するアレルギーでは?」
意地悪に訊いてみると、
「そうかもしれないですね」
と佐藤さんは笑いながら答えた。

施設では話し相手が少ない。
夫の認知症はどんどん進んでいる。
最近、自分の名前もあやしいらしい。

「話のネタがなくて困るんです」

以前、写真を持っていくよう助言した。
佐藤さんは忠実に守っている。
二人で旅行した写真を見ながら、
当時を思い出して会話するそうだ。

でも、すぐに話しが尽きてしまう。

「僕のこと憶えてくれてるかな?
会いたいって言っておいて下さい」
「今日は先生のとこに行く
って主人にも言ってあります」
とのこと。

診療のあと夫の所へ行く佐藤さん。
会話のネタを仕込んでおいた。
鼻水が止まったことを報告するよう
助言した。

「あなたがいなくなったお陰よ。
ありがとう」

って感謝を伝えるように、と。

少々ブラックかな…
感謝だからよし、としておこう。