長生きサラブレッド

早い話が

「親の教えは尊い」
ということだ。

妙に自信満々な患者さんがいる。
こちらがリスクを説明しても
のれんに腕押し、ぬかに釘…
ヘラヘラしている。

三上さんは齢75歳。
にも関わらず、毎日のように午前様だ。
午前2時のコンビニでばったり出くわした。
赤ら顔の三上さんがサンドウィッチの
コーナーで陳列を見つめている。
「こんな時間に?」
声をかけると、悪びれる様子もなく、
「ええ。孫に土産を」
「元気ですねえ」
イヤミを投げるもニヤニヤしている。

高血圧に高脂血症と痛風。
しょっちゅう胃もたれで来院する。
近隣の若者からも慕われている。
若い人と飲みに行くから遅くなる。
しかもトンカツやうなぎで飲むそうだ!

フッと頭をよぎった。
「お父さんおいくつで他界したの?」
「88です」
「お母さんは?」
「88です」
「どおりで…」
「二人とも血圧と糖尿病。
それでも88まで元気でした」

これだ!
親の寿命を根拠にしている人は強い。
遺伝子の強さか自己暗示の強さか?
逆も然りだ。
親の病に関連する症状に子供は敏感だ。
原因不明の腹痛や頭痛。
親が胃がんや脳卒中というケース。
決して少なくない。
親の影響はかくも大きい。

「サラブレッドですね」
「へへへへ…」
医者のイヤミさえも暗示の材料にし、
ニヤニヤしながら退室していったとさ…