「オシッコが出て仕方ないんですよ」
排尿回数が多すぎると娘に指摘され、
大杉さん(82歳、男性) は来院した。
膀胱炎の可能性もある。
「尿を調べましょう」
2時間経過。
待てど暮らせどオシッコが出ない。
「どうしても出ないんです」
「ホンマに頻尿?貧乳の間違いでは?」
「(ボケは無視され)治ったかな?」
勝手に治ってよかった。
「また困ったら来て」
大杉さんは首をかしげながら、
帰宅。
北川さん(71歳、女性)は動悸が主訴。
「昨日はドキドキして眠れなかった」
「不倫してんの?」
「もう若くないわよ!」
北川さんの夫はうちの患者だ。
夫から
「診療所行って来い!」
と促されて来院した北川さん。
「今どう?」
「憑き物がとれたように治ったわ」
ニコニコで帰ってくれた。
夫の喜ぶ顔が目に浮かぶ。
「頭が痛くて仕方がない」
小沢さん(26歳女性)はバーベキュー後、
嘔吐した。
吐き気が改善したら今度は頭痛だ。
「どんな風に痛い?ズキンズキン?
それとも、ギューッって感じ?」
「ギューッと締め付けられる感じ」
「バーベキューは何の肉?」
「えっ?」
「牛?豚?鶏?魚?」
「ああ、牛」
「そっちもギューなんやね」
てな話を2~3分したところで
「ところで今痛みどない?」
「あれ?治ってる…」
こんな日もある。
何もしなくても治ってくれる人が
連発する日。
人体とはそんなものなのだろう。
患者さんは治りに来てるのだから。
決して、オカルトや超能力ではない。
何となく音楽的調和がはまる日。
人体もリズム楽器なのだ。
百発百中になる日が来るといいな。
後日談
みな、再発してないそうだ。
よかった。