
大野さんのお姉さんは認知症だ。
しっかり者のお姉さんだったらしい。
もうすぐ自分の顔も忘れるのでは?
大野さんの顔は寂しげだ。
自分に置き換えてみる。
自分の妹が?自分の弟が?
まだなかなか臨場感を持てない。
「おいくつなんですか?」
「88歳なのよ」
「死の恐怖も忘れてるかもね。
それは幸運ですよ」
「旦那の顔も忘れることが多いそうよ」
「出会った頃の新鮮さが保てる!
毎日初恋じゃないですか!」
近い将来認知症患者は800万人まで
増えると試算されている。
ツッコミも最低800万人必要だ!
医者は30万人しかいない。
全然足りないではないか!
悲劇として生きるか?
喜劇として生きるか?
「記憶」は残らないかもしれない。
しかし「気分」は残る。
気分を大切に生きると決めたら
毎日リセットできる認知症も
捨てたもんじゃない。
認知症になろうと、介護する側になろうと
一回こっきりの人生。
残された人生を全うするしかない。
認知症にならない方法?
そんなことに執心するより、
いつもいい気分でいられる工夫を!