毎日キスしてる?


「マフィンあるけど食べる?」
妻が娘に聴こえないように、
内緒で訊いてきた。
すると、少し離れで遊んでいた
1歳の息子がこちらに目を向けた。

その態度に苦笑する妻。
「全部意味わかってるねん」

恥ずかしながら、自分は「マフィン」が
どういうものか知らなかった。
それを1歳の息子が知ってる?
ありえない。

声を落としたことに反応したのでは?

正確には、突然音量が下がったことによる
空気密度の変化への反応。
変化した「空気」を読んだのだ。

成長とともに「単語」を憶える。
つまり名前が与えられる。
名前は注意を引く。
視点の先も名前のついたものに向く。

空間に目を向けることは滅多にない。
視点が固定されることによって、
周辺情報を見落としてしまう。

知識を得ることの副作用だろう。

ジミ・ヘンドリックスの『紫のけむり』の
歌詞に “kiss the sky” というものがある。
煙を吐く行為をそう表現している。
ジミヘンは「空間」を触っていたのだ。

見えない空間は妄想も生む。
ウイルスだらけでは?
このまま景気が悪くなったら?

も妄想だ。

趣味でも学問でもない妄想は
人生時間のムダ遣いだ。

脳にも身体にも良くないので止めるべき。

子どもは知識がない分、本能的に
空気の変化を察知するしかない。
大人は知識が邪魔する。
子どもこそが「空気」を読めるのかも。
迷ったら「子ども」になって考えよう。