卒中ギタリスト

小川さんは58歳男性。
糖尿病と高血圧の持病がある。
会社を経営していてストレスは多い。
酒とタバコもなかなか止められない。

先日小川さんの母親が急死した。
母の葬儀中に呂律が回らなくなった。
近所で受診したが問題なしと帰宅。

翌日当院受診。
手足の麻痺はなく、呂律異常も軽度。
だが、違和感があるので精査した。
やはり脳梗塞があった。

一週間後、退院報告に来てくれた。
ほぼ元通りの小川さんだった。
「助かりました」
「お母ちゃん一人で逝くの
寂しかったんですかね?」

苦笑いする小川さん。

小川さんの趣味はギター。
外来ではソウルミュージックの
オタクトークに花が咲く。
やはり若干いつものキレがない。
母の死と卒中のダブルショックか…

「ギターは?」
「全然問題なく弾けるんですよ」
「よかったあ!」
「実は一本買っちゃったんですよ!」
「ナイス!」


この辺がミュージシャンの良いところだ。
「心機一転」できる!
呂律が回らない?
ギターでしゃべればいい!