お父さんの挨拶力


子どもの入園式だった。
乳児の世話役で参加した。
たくさんの父兄が来ていて驚いた。
ほぼ全員自分より若い…
しかし、溢れる違和感にあきれた。
目を合わさない父親の多いこと!
こちらの問題か?
そう思ったが、そうでもないようだ。
お父さん同士の会話は皆無だった。

妻も同じ印象を抱いていた。

路上で患者さんに出くわす。
地域医療ゆえ機会が多い。
マスクや帽子を着用している患者さん。
それでも気づく。
そのことに驚かれる。
ご本人からも。
各人の雰囲気と目力(めぢから)。

普段からそこに注目しているのか?

対して自分の方は、まあ気づかれない

患者さんは白衣を見ているのだろう。

こちらから挨拶をする。
(誰、コイツ?)
表情から見て取れる。

数歩進み、気づいて振り返る人もいる。

認知していなくても挨拶は丁寧だ。

下町の人たちは愛想がいい。

その極みが大下さんだ。
完全に認知されていると思っていた。
「こないだはどうも」と私。
「はあ?」
「バス停でお会いしたじゃないですか!」
「あっ!アレ先生だったの?
誰かと
思っていたのよ!」
この調子だ。
確かに、二言三言会話したのだ。

「お出かけですか」的な…

大下さんは差別なき挨拶をしているのだ。
誰に対しても…

大下さんは78歳。
17年間、自分のお店で接客していた。
昼は喫茶店、夜はスナックというお店で。

どおりで!という感じだ。

大下さんは美人だったと有名だ。

学生の頃の同級生もそう証言している。

ご本人曰く、
水商売は決して好きではなかった。
しかし、お店はかなり繁盛したそうだ。
大下さんの「挨拶力」も貢献したはずだ。

園児の父親たちの挨拶力の貧困さ…
ハレの日、お母さんはみな笑顔だ。
対してお父さんたち。
みなウンコをガマンしてるような顔だ。

これはアカンで、しかし…

コイツは敵なのか味方なのか?
挨拶で判断できる。
目を見れない。
無視する。
それは命に関わる失策になり得る。

気持ちのいい挨拶は「護身術」だ。

目の前に無邪気な3歳の園児たちがいる。
この子たちを守らねばならない。
この子らは正しい挨拶を学ぶ権利がある。
先ず隗より始めるとしよう。