原崎さん86歳女性。
最近定期的に受診するようになった。
骨粗鬆症の薬を飲んでいる。
ボランティア活動に熱心だ。
「最近少し疲れてきたの」
「そんだけできたら充分でしょ」
すると原崎さんはじっとこちらを
見て、丁寧に話し出した。
「先生にお願いがあるんです」
「何でもどうぞ」
「私が弱ってきて、その時が来たら
静かに看取ってほしいんです」
全部理解できた。
荷物整理をしていたら、50代のときに
書いた遺言書が出てきたそうだ。
今の考えと全く同じだったそうだ。
30年前に仕上げているとは
当時としては先進的だ。
今回、改めてエンディングノートを
したためた。
終の主治医として選んでくれたようだ。
「ええオチにしたげますよ」
「ああ、よかった」
涙目で喜んでくれた。
お陰でボランティアに精を出せる。
やりたいことに集中できる。
終着点を決定することで自由を得る。
死を身近に感じておくことで、
自分の真の物語が描けるのかも…