「小さい頃は身体が弱かった」
82歳の女性患者さんは中華料理屋に嫁ぎ、子供三人をおんぶしながら夜通し働いたそうだ。
旦那は料理の腕前は近所でも評判だったが、酒飲みの博打うちで苦労させられたそうだ。
82歳でほぼ病気知らず。三人の子供も立派に育て上げた。
今は孫の面倒をみながら、先逝った旦那の墓参りにも毎週行っている。
「丈夫以外の何物でもないと思うのですが、いつまで弱かったの?」
と訊くと、
「結婚してから強くなった」そうだ。
ちなみにこの患者さんによると自分の息子も「弱かった」らしい。
46歳の女性患者さんはひどい貧血症状で受診してきた。
食事指導をしっかり行い、再診を促した。
後日、患者さんの母親が受診したので、「どうですか?」と娘の様子を訊いた。
「絶対太りたくない。と言ってダイエットを止めないんですよ」
と困りながらの返答。
全然太ってない。むしろ痩せている。
そこまで執念深いダイエットをする理由は何だろう?
昔いじめられた、とか何かのトラウマがあるかもしれない。
母親に「心当たりないですか?」と訊いてみた。
すると、その母親はハッと思い出したように言った。
「死んだ夫は、私にも娘にも絶対に女は太っちゃいけない、ってずっと言っていた」
すっかり皆が忘れていた旦那の口ぐせだった。
父親の言葉による「呪縛」かもしれない。確かに母親も太っていない。
子供が自ら「身体が弱い」とか「太っている」と判断することはない。
「弱さ」も「太さ」も比較対象ありき、だから。
はじめに親が指摘し、ある種の「呪い」をかけてしまう可能性は非常に高い。
中華料理屋さんの女性の場合、「逃げ出せない状況」が「身体の弱さ」を克服させたのだろう。
しかし、息子にも同じような「呪い」をかけてしまったかもしれない。
子供にとっても「身体の弱い子」として扱われるのはそれほど不快ではない。
むしろ優しくしてもらえる状況に「無意識」で甘える可能性もある。
いわゆる「かまってちゃん」が生まれる機序だ。
「女は太ってはいけない」という「信念」を変えるのは容易ではない。
健康な「見た目」の達成を落としどころにしようかと目論んでいる。
自分の「信念のようなもの」の大部分は親の影響を受けている可能性が高い。
日本メディカルコーチング研究所
所長: 原田文植
(日本メディカルコーチング研究所: 各SNSサイト一覧)
Twitter: https://twitter.com/FumiueHarada
facebook: https://www.facebook.com/imcjapanorg/
Instagram: https://www.instagram.com/fumiue.harada/
Tumblr: https://www.imcjapan.tumblr.com
Google+: https://plus.google.com/u/1/116079621458834311932