こんなときこそ

「落ち込んでいる暇があったら、
そのエネルギーを使って
ブルースを書いた」
デューク・エリントン

大切な人との死別、事業の失敗、
理不尽な出来事、病気、災害…

悲哀の種はそこら中に転がっている。
悲哀の種しか目に入らないだけ
かもしれない。

先人たちはそれをエネルギーにして
仕事をしてきた。
自らの涙を拭いて、世の中の涙の
原因を解決してきた。

便利な世の中と文化を享受している。
挫けなかった先人たちのお陰だ。

悲哀のエネルギー量は大きいのだ
と思う。

どんな困難も乗り越えられる。
そう確信している。
生きている人にはとてつもない
エネルギーがあるのだから。

熟年カップル誕生?

卓球部が盛り上がっている。
患者さんのサークル活動だ。
他にも、朗読部、ダンス部、
写真部…色々ある。

卓球のあとはカラオケ。
体育系と文化系でバランスもいい。

84歳の田無さんは卓球は初めて。
それでも上達が著しいそうだ。

田無さんは社交ダンスをしていた。
ダンスも高齢になってから始めた。
ダンスは覚えることが多い。
できなかったことができるようになる
体験をしているのは大きい。

新しいことを始めるには勇気が必要だ。
自分で「無理」と決めつける。
新しいことを始められない理由の
大半は先入観だ。

つくづく感じる。
成功体験は重要だ。

75歳の荒川さんは昨年妻を亡くした。
69歳の横井さんは昨年夫を亡くした。
卓球を始めて2人とも明るくなった。
検査データも劇的に改善している。

(自称)カップリングに定評のある
主治医は二人を焚き付けている。
「一緒になれば?」
二人ともまんざらでもない様子だ。

先日、荒川さんが風邪をこじらせた。
横井さんは一生懸命看病したそうだ。
荒川さんはうつ気味な横井さんを
いつも笑わせている。

いいと思う。
新しい関係性を始めるのも
間違いなく素晴らしい。
相手がいなければ一人にさえ
なれないのだから。

超常現象

「オシッコが出て仕方ないんですよ」
排尿回数が多すぎると娘に指摘され、
大杉さん(82歳、男性) は来院した。

膀胱炎の可能性もある。

「尿を調べましょう」

2時間経過。
待てど暮らせどオシッコが出ない。

「どうしても出ないんです」
「ホンマに頻尿?貧乳の間違いでは?」

「(ボケは無視され)治ったかな?」

勝手に治ってよかった。
「また困ったら来て」
大杉さんは首をかしげながら、
帰宅。

北川さん(71歳、女性)は動悸が主訴。
「昨日はドキドキして眠れなかった」
「不倫してんの?」

「もう若くないわよ!」

北川さんの夫はうちの患者だ。
夫から
「診療所行って来い!」
と促されて来院した北川さん。

「今どう?」

「憑き物がとれたように治ったわ」

ニコニコで帰ってくれた。
夫の喜ぶ顔が目に浮かぶ。

「頭が痛くて仕方がない」
小沢さん(26歳女性)はバーベキュー後、
嘔吐した。

吐き気が改善したら今度は頭痛だ。

「どんな風に痛い?ズキンズキン?
それとも、ギューッって感じ?」
「ギューッと締め付けられる感じ」
「バーベキューは何の肉?」
「えっ?」
「牛?豚?鶏?魚?」
「ああ、牛」

「そっちもギューなんやね」

てな話を2~3分したところで
「ところで今痛みどない?」
「あれ?治ってる…」

こんな日もある。
何もしなくても治ってくれる人が
連発する日。

人体とはそんなものなのだろう。
患者さんは治りに来てるのだから。

決して、オカルトや超能力ではない。
何となく音楽的調和がはまる日。

人体もリズム楽器なのだ。

百発百中になる日が来るといいな。

後日談

みな、再発してないそうだ。
よかった。