迷信は信じますか?

山口さんは悲壮感たっぷりに言った。

「ネコが仏壇の水を飲んでたのよ。
だから、もう近いんじゃないかしら」

山口さんは93歳。
…いやいや
お茶目な患者さんが多くて幸せだ。

飼いネコが仏壇の水を飲むと家族が死ぬ。
という言い伝えが根拠のようだ。
そんな言い伝えがあるとは知らなかった。
ちなみに一応ネットで検索してみた。
見つけることはできなかった。
『仏壇の水を飲むバカ猫』
みたいな記事は見つけた。
書き手はご存命だろうと思われる。

迷信というものも面白い。
昔は親から色んな迷信を聴かされた。
「夜爪を切るな」
「カラスを見たら~」とか。
どうなるのかは覚えていない。

でも、意外と守っている気がする。
昨夜も爪を切らなかった。
今朝外来中休憩がてら切ろうと思う。
やはり夜は避けている。
親の教え(洗脳?)は尊いものだ!
昔は「灯り」が不足していた。
刃物を使うと怪我する。
方便として市民権を得てきたのだろう。

下町では割と文化として生き延びている。
引っ越しの際「仏壇は必ず最後」だ。
そうしないと家族が死ぬらしい。
ビル建設の際、大勢からそう助言された。

仏壇はないんだけど…

言い伝えや風水は意外と好きだ。
従順な方だと思う。
「口ぐせ」の考えと通底している。
詳細は今回は遠慮しておく。

怖がっている山口さんにこう言った。
大丈夫!
ネコも現代っ子。多分迷信知らんから。

 

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まだ肩こってんの?

堀本さんの肩こりはひどかった。

「性格が悪いからですよ」
当然「ひどい」と言われる。
そう言いつつ、80歳の女性の顔は緩む。

だってストレスでイライラするでしょ?
そう言うや否や、顔をしかめ出した。
「それそれ。顔に責任はないよ」

なぜイライラしたら顔をしかめるのか?
顔をしかめたってイライラは治らない。
顔面の筋肉をむやみに緊張させる。
当然、首やその他の部位も力む。

イヤなことを思い出し、また力む。
一日に一体何度身体を強直させるのか。
興奮を発生させるのは簡単だ。
自律神経の機能がそうなっているから。

闘争状態や逃走状態はすぐに作れる。
いつ動物に襲われるかわからない。
その時代の名残だ。
ちなみに「手に汗をかく」という現象。
これは逃走時のすべり止めの名残だ。

一旦興奮すると簡単には戻れない。
時間がかかる。これも解剖学的事実だ。

今はそんな時代か?
動物に襲われることも飢餓もほぼない。
手のすべり止めも必要ない。
身体はいつまで経っても「旧式」だ。

必要なのは「緩める」能力だ。
だから「癒し」や「瞑想」が売れるのだ。
いつの時代も商売人は目ざとい。

実はお金をかける必要はない。
笑えばいいだけだ。
笑えば緩む。笑えるのは多分人間だけだ。

だから
「性格が悪いからですよ」
が効くのだ。
堀本さんは上機嫌で診療室を出た。
もっとみんな笑えばいい。

 

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エクスタシーワードとは?

「エクスタシーワード」
という言葉を最近知った。
どんな人も絶対に喜ばせる魔法の言葉。
さて何でしょう?
「自分の名前」だそうだ。
自分の名前を相手に呼んでもらう。
確かに自分の名前を認知されたら嬉しい。
「有名になりたい、売れたい」
その根源はこれからもしれない。

最近意識的に名前を呼ぶようにしている。
特に外来診療中、患者さんの名前を。
違和感が生じない程度に…

我ながら「素直」だと思う。

こういう地道な作業を努力と呼ばれる。
それはちょっと違う。
興味があり、好きでやっているだけだ。

自分を「頭が悪い」という人は多い。
特に思い出せないときや失敗したときに。
ことあるごとにそれを繰り返してしまう。
本当に頭が悪くなる。
これを「自己充足的予言」という。
以前のブログにも書いた。

人から頭が悪いと言われたことがない。
幸か不幸か。
物忘れをする。名前が出てこない。
そんなことはしょっちゅうある。
「そんなはずはない」となる。
「やっぱり」とはならない。

自分の頭が良いと確信している。
どんな手を使ってでも覚えようとする。

大勢の患者さんと接する仕事をしている。
一度っきりの患者さんと路上で会う。
にこやかに挨拶される。
やばい!相手の名前が出てこない!
そんな汗をかきたくないのだ。

自分は頭が良いはずだ。
「自己イメージ」をキープしたい。
すると情報が集まってくる。
頭が良くなる情報が。
上述の「エクスタシーワード」だ。

患者さんの名前を何度も呼び掛ける。
患者さんを喜ばせるために。
すると、名前を忘れなくなったのだ。
身体に名札が貼りつき出したのだ!

自己イメージを維持する口ぐせは重要だ。
「棚からぼたもち」情報も寄ってくる。
そこに「努力」はいらない。

ネタバレしてしまった…
名前を呼ぶのが難しくなりそうだ…

 

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