次の現場へ


「ブログネタが多そうな方に進んだら」
妻が言った。
わが妻ながらエエセンスだ!

8月一杯で診療所を辞めることになった。
理由はそれなりにあるのだが、
結局は「自分の意志」だ。
残りたければどんな手を使ってでも
残ればいいだけ。

12年間はそれなりの時間だった。
何を残したのか?
「作品」が残る世界が羨ましい。

チャーリー・パーカーが
素晴らしいのではない。
チャーリー・パーカーの「音楽」が
素晴らしいのだ。

ピカソが素晴らしいのではない。
ピカソの「絵」が素晴らしいのだ。

医療ならどうだろうか?
患者が治癒すること?
生き延びること?
それが目標なら難しい。
人はいつか死ぬ。

医療における「作品」とは?
異論はあるだろうが「関係」では
ないだろうか?

ときに私生活にまで近づき、共感し合い、
共通の目標に向かって伴走する。
打ちひしがれることも多々ある。

今、色んな形で患者さんたちが
可視化してくれている。
感謝と恐縮の時間は正直しんどい。
関係が理解できない人には一生
感じることができないだろう。

話が抽象的になりすぎた。

というわけで次の舞台に移ることにした。
やることは同じだから大丈夫。
手数と自由度が増えただけだ。

人気出てきた?


朝から赤ん坊を抱いた人たちが
診療所の前で並んでいる。

内科しか標榜していないうちでは
珍しい光景だ。

「なんで?」
ナースに訊いた。
「小児科が発熱を診ないそうです。
あそこなら診てくれるからって」

ズッコケた。

9時半から在宅を廻らないといけない。
11ヶ月児一人だけ診察して勘弁願った。

午後の外来で来た39歳介護職の男性。
38度近い発熱状態で入ってきた。

「熱あるんなら連絡してよ。
貼り紙もあるやろ!
君も高齢者相手の仕事やろ!」

久々に患者さんを叱った。
幸いコロナではなさそうだが。

聴くと、近隣の診療所に断られ。
うちに行くように指示されたと。
誘導した診療所も連絡してこいよ!

夫が医師をしているナースの話だ。
夫がパート先から日給を減らして
ほしいとお願いされたそうだ。
患者激減で経営がままならない。
医師も売り手市場ではなくなっている。

オンライン診療が流行ってきている。
こうなると「軍人将棋」が始まる。
有数の名門大学出身の医師だけの
世界になっていくだろう。
オンラインで食える医師は限定される。

医者は人気商売だ。
いや、すべての経済の指標は「人気」だ。
自分が人気があると言いたいのではない。
人の「気を惹く」努力をしているのだ。
他で嫌がられた患者の気を惹いている。

コロナで患者が減ったとか愚痴る前に
やるべきことは山ほどあるはず。