NO MUSIC, NO LIFE

ライブのはしごだった。
もちろん演者として…

昼は高齢者の前で弾き語りと伴奏。
ハーモニカ名人(患者さん)との共演だ。
80歳の女性患者さんはリコーダー独演。
『グリーンスリーブス』と『桜』。
それで「食べていた」時代があるらしい。
納得の素晴らしさだった。

胃がんを克服した患者さんはピアノ。
『エリーゼのために』を演奏してくれた。
たどたどしさがむしろ感動を誘った。
演奏後に
「普段はもっと上手く演奏するのに」
と懸命に言い訳をしていた。
「緊張を想定して練習しないと。
来年リベンジですね」
と助言しておいた。

夜はライブハウスでバンド出演。
対バンは20代前半の若いバンド。
息子でもおかしくない年齢だ。
演目は年齢らしからぬ「渋さ」だった。
むしろ昼間の方々向きの時代感だった。
だけどベートーベンの時代から見れば
その尺は「誤差」に過ぎない。
生き延びる古典はやはり素晴らしい。

月並みな言い方しかできない。
老若男女問わず音楽と関わるべきだ。
それだけは間違いない。

滝田さんは81歳の女性。
かつて「うつ病」と診断されていた。
「ホンマのうつ病の人に申し訳ないで」
現在の主治医は厳しい。
抗うつ剤もドンドン減量しまくった。
今は保険として一錠だけ処方している。
外来ではいまだに愚痴が多い。
鬱陶しいので適当に話につき合っている。
10年間そうしている(ひどい主治医だ)。
今年も年初から愚痴だらけ。
丁度メキシコ帰りだったこともあり、
「一日中ラテン音楽流したら?」
と適当に提案した。
提案した本人が忘れていたぐらい適当。

先日目を輝かせて滝田さんが来院した。
「毎日ラテン。音楽っていいわね」
と踊り出すような動きで報告してきた。

これも時代の賜物だ。
娘がセッティングしてくれたそうだ。
音楽にアクセスするのもたやすい。
インターネットのおかげで。

「音楽で部屋の景色が変わった」
滝田さんは言っていた。

ラテンが滝田さんにハマったのだろう。

提案する。
今すぐ何か音楽を聴いてみては?
普段絶対に聴かないジャンルの音楽を。
それができる時代だから。
色んな景色が変わるかも…

 

よろず相談所 One Love
日本メディカルコーチング研究所
所長: 原田文植

 

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どうしてお腹がへるのかな?

「元気な人はあまり食べないですね」

83歳になる藤本さんは同窓会に行った。
小学校の同窓会だ。
18人参加したとのこと。
大したものだ。
それでも人数はかなり減ったそうだ。
藤本さんは元気にしている仲間を見て
冒頭の言葉を語った。

藤本さんは中卒で料理職人の道に進んだ。
昭和20年代後半から30年代の銀座。
夢が溢れていたと語る。
「良い時代だった」
と。
今の方が絶対便利だと思うが…

藤本さんは銀座で天ぷら屋を開いた。
連日大繁盛だったそうだ。
目の前で調理し、客に提供する。
それを60年やってきた。
その人の言葉だから含蓄がある。

世界中で飢餓は確実に減っている。
現存する飢餓は政治上の問題だ。
依然、人の恐怖本能の根源は「飢餓」だ。
だから食べると安心する。

高カロリーのモノを食す。
脳内で快楽物質が分泌される。
それが「情動過食」のカラクリだ。

お昼前に患者宅を往診する。
必ずテレビがついている。
美味そうな食べ物のオンパレードだ!
映像が「空腹」を認識させてくれる。
いや、映像がヒトを「空腹」にさせる。
もうちょっと遠慮をしてはどうか?
苦言を呈したい。
グルメ情報を垂れ流すメディアに。

まあ、彼らも仕事をしないと食えない…

 

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人生100年時代の課題

岡本さんの長男が昨年末永眠した。
4年間の闘病生活の末。
岡本さんは93歳。
他界した長男を含めて子供は3人。
長男だけが生涯独身だった。
娘と次男の子供、つまり、孫は6人。
ひ孫はなんと男ばかり7人。
おぞましいほどうるさいそうだ…

「お年玉が高くつきすぎる」
愚痴をこぼしていた。

長男は残念ながら他界した。
岡本さんを源流として16人の子孫。
数で救われるものではない。
長男の話になると涙が溢れる。
言葉がない。
子供に先立たれる悲しみに。
黙って聴いてあげるのみ。
「変われるものなら
変わってあげたかった」
岡本さんはそう言った。
「いやいや。それじゃあ意味ないよ。
ちょっと延びるだけでしょ」
失言だ!
つい漏れ出てしまった。
「そうだわね。すぐ追いつくよね」
岡本さんは屈託なく笑ってくれた。

この明るさと賑やかな孫たち。
まだ大丈夫そうだ。

 

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