お年寄りは運転してはいけないのか?

結論から言えば
高齢者にも運転させてあげたい。

昨日は明鏡塾開催日だった。
飲み会に参加させていただいた。

池袋の交通事故の話になった。
母子の命が失われた凄惨な事故。
運転手は87歳。
高齢者の運転をどうするか?
という話になった…
当院の患者さんも交通事故に遭った。
幸い、腕の骨折で済んだ。
相手は個人タクシー。
運転手の年齢はなんと88歳だった…
「気持ちのぶつけようがない」
被害者の患者さんはそう言っていた。
その年齢まで運転手ができるのか?
運転していていいのか?
そういう話の方向性になっていく。

高齢者に運転させていいのか?

悲惨な事故が起こる。
反射的にある種の感情が発生する。

一度冷静になろう。
少し古いデータではあるが、
以下のサイトが非常に参考になる。
https://news.yahoo.co.jp/byline/mamoruichikawa/20161120-00064606/

高齢者の事故が増えているわけではない!

もちろん被害者の家族の気持ちを
考えたらやるせない。
議論を重ねることは必要だ。

運転しないと生活できない地域もある。
自尊心の問題もある。
免許を没収されることはショックだ。

人間は「やめる」理由は簡単に考える。
「やる」と決めると工夫する。
インフラの整備。
自動運転の発達。
技能チェックの頻度を増やすのもいい。

何より高齢者だけの責任か?
この国土面積と自動車の台数。
絶対に毎年3000人以上が亡くなる。
データはシビアだ。
今年も交通事故死2500人には減らない。
ほぼすべてが意図していない死だ。
過失とは言え、殺人事件に近い死だ。
その世界にエントリーしているのだ。
便利だから、という理由だけで。
全員に責任がある。

自動車会社の責任は?
「うちのメーカーの車で事故を
起こさせたことを謝罪します」
聞いたことがない。

運転可能かどうかの認知機能等の
評価を下す医師の責任も重い。
現段階では「運転させない」方向の
結論ありきの立場は取るつもりはない。

飲み会は盛り上がり、お開きの時間に。
「あれ、メガネがない?」
トイレに探しに行き、店員に訊き、
仲間もテーブルの下や、外まで探しに。

見つかった!
鞄のポケットに入っていた。
仲間も苦笑いするしかなかった。

高齢者でなくても、医者でも、
この程度の認知機能だ。
データに基づく冷静な議論を望む。

長生きサラブレッド

早い話が

「親の教えは尊い」
ということだ。

妙に自信満々な患者さんがいる。
こちらがリスクを説明しても
のれんに腕押し、ぬかに釘…
ヘラヘラしている。

三上さんは齢75歳。
にも関わらず、毎日のように午前様だ。
午前2時のコンビニでばったり出くわした。
赤ら顔の三上さんがサンドウィッチの
コーナーで陳列を見つめている。
「こんな時間に?」
声をかけると、悪びれる様子もなく、
「ええ。孫に土産を」
「元気ですねえ」
イヤミを投げるもニヤニヤしている。

高血圧に高脂血症と痛風。
しょっちゅう胃もたれで来院する。
近隣の若者からも慕われている。
若い人と飲みに行くから遅くなる。
しかもトンカツやうなぎで飲むそうだ!

フッと頭をよぎった。
「お父さんおいくつで他界したの?」
「88です」
「お母さんは?」
「88です」
「どおりで…」
「二人とも血圧と糖尿病。
それでも88まで元気でした」

これだ!
親の寿命を根拠にしている人は強い。
遺伝子の強さか自己暗示の強さか?
逆も然りだ。
親の病に関連する症状に子供は敏感だ。
原因不明の腹痛や頭痛。
親が胃がんや脳卒中というケース。
決して少なくない。
親の影響はかくも大きい。

「サラブレッドですね」
「へへへへ…」
医者のイヤミさえも暗示の材料にし、
ニヤニヤしながら退室していったとさ…

弘法は筆を選んだはず

早い話が
商品の性能は価格帯でわかる
ということだ。

初めて楽器を買おうとする友人がいる。
「できるだけ高い楽器を買え」
必ず、そう助言する。
「弘法筆を選ばず」
は上級者のための言葉だ。
初心者はイイ楽器で練習すべきだ。
イイ楽器は音が良い。
そして、イイ楽器は絶対に値段が高い。
イイ音がすれば、楽器を触りたくなる。
自然と練習が続く。
大枚をはたくという行為が「止める」
という退路を断つことにもなる。

「聴診器も当ててくれないのよ」

相変わらずよく聞かされる苦情だ。
(なぜオレに言うの?)
胸の音を聞かない医者にこそ
その胸の内を聞かせればいいのに…

ところで、聴診器を新調した。
奮発し、高額なモノを購入した。
性能は価格に反映される。
そう信じているからだ。
イヤホンでは間違いなく当てはまる。
3千円と3万円のイヤホンは10倍音が違う。
「価格帯」が信用できる時代だ。
ネット情報も貢献しているのだろう。

新調した聴診器…
信じられないほど音が良い!
ドキっとするほどよく聴こえる!
そして丈が短い!
お陰で患者さんに近づくことになる。
それは良し悪しだが…

道具って大切だ!

そして棚ボタが出てきた。
何と、性能の劣る聴診器まで
よく聴こえるようになったのだ!
それはこちら側の問題だと思われる。
音に近づいていってしまうからか?
道具が使い手を成長させる。
楽器でも聴診器でも。

道具って大事だ!